嘘でもないが本当でもない

橋下知事のツイートに対するツッコミの続き。
橋下徹 on Twitter: "減債基金からの借り入れを止めて、今では通常の借金返済に加えてこの基金の返済もやっています。赤字債の退職手当債は発行禁止、その上で貯金としての基金を760億円積み立てました。11年ぶりの赤字予算、決算からの脱却。それでも教育等に数百億円単位で金をぶち込みました。"

減債基金からの借り入れを止めて、今では通常の借金返済に加えてこの基金の返済もやっています。赤字債の退職手当債は発行禁止、その上で貯金としての基金を760億円積み立てました。11年ぶりの赤字予算、決算からの脱却。それでも教育等に数百億円単位で金をぶち込みました。



上のツイートだけ見ると、橋下知事はもの凄く結果を出している様に見えるわけでして、実際はそれは違うのですが、では彼が上のツイートで嘘をついているかと言えば、確かに彼は嘘をついてはいないんですよね(明らかに嘘のツイートも他にありますが)。他の重要な情報を伝えていないため、ツイートを読んだ人の多くが誤解して受け取ってしまう様になっているだけで。


このツイートの「貯金としての基金」というのは、財政調整基金基金のことを指していまして、確かに23年度当初予算の段階では769億円積み立てられています。ですから、それ単体では確かに嘘ではありません。


しかし、これには他に重要な情報がありまして、平成22年度予算において、実際には4152億円、通常債に限っても827億円の借金をしているのですが、その事については語られないわけです。実際にお金が余ったとしても、それ以上の借金をその年にしていたのであれば、意味あいもその評価も変わってくるかと思うのですが、そこには触れず、760億円お金が余って積み立てたという事だけが伝えられる。


「赤字予算、決算からの脱却」についても同じ話でして、自治体の予算は借金も収入に含まれるため、府債を数多く発行すれば黒字になりますので、赤字・黒字それ自体に大きな意味はないのですが、その情報については触れず、大阪府が赤字予算から脱却したということだけが伝えられる。で、このツイートを読んだ読者の多くは、760億円もお金が余り、黒字決算でさも財政状況が改善したかの様に誤解してしまうわけです。嘘をつかなくても、一部の情報を隠しさえすれば、本当でもないことを信じさせるのは簡単だというお話。


橋下知事は、「メディアは一部分しか伝えない」とツイッターを始めたらしいですが、一部分しか伝えないのは当の自分のツイートも同じだったと言うことですね。分かってて伝えないのであれば悪質だと思いますし、分かっていないから伝えていないのであれば、財政状況の初歩的な事も知らないという事ですから、さすがに知事として能力的にどうなのかと思います。おそらく確実に前者だとは思いますが。