地方創生に欠けている「チーム感」の作り方 意外と話し合わない地域の人たち

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知られざるJTBの変貌とは?
旅行パッケージを売る会社だったJTBが、日本各地で観光資源を掘り起こす事業にも携わる会社に今、変わりつつあることを知っているだろうか。草の根の社内活動から地域おこしを始めたひとりが、地域交流プロジェクトの推進者のひとりである山下真輝さん。
今、観光を復活させるのに必要なことは何か? 前回記事に続き、『そうだ、星を売ろう』で日本一暗い村・長野県阿智村の“奇跡の村おこし”を描いた永井孝尚氏が、地方創生の現状と課題について山下さんと語り合った。
※前編:成功する「地方観光」はこんなに進んでいる!

それは社員の草の根活動から始まった

永井:私もよく知るJTB社員の方が、長野県にある日本で一番暗い村、阿智村の方と組んで、村おこしを成功させました。これといった観光資源のなかった村に、ほんの数年で年間6万人が集まるようになったのはすごいことです。

このケースだけでなく、JTBさんは全国各地で地方の方々と地域づくりをしておられますよね。もともとは山下さんらによる草の根の活動だったというお話を前回お伺いしましたが、そこからJTBとして全社で取り組むようになったのはいつ頃ですか?

山下:ちょうど10年前の2006年、「JTBはもっと地域に密着しよう』ということで地域ごとの会社に分社し、今ではグループ全体で200社近くの会社になっています。全社的に事業ドメインを総合旅行業から交流文化事業と定義づけられ、この頃から、地域ならではの強みを発掘して、魅力ある観光資源づくりをする地域交流プロジェクトが全社戦略の大きな柱のひとつになりました。私も2010年に九州から東京にあるJTBグループ本社に異動して、この仕組み作りや社員の人材育成、現場との橋渡し役や中央省庁との連携などをやるようになり、現在に至っています。

永井:15年前から各地にあるJTBの現場で草の根的に始まった地域づくりの動きが、10年前から「地域交流プロジェクト』として全社で戦略的に取り組むようになり、5年前から山下さんも本社で旗振り役の一員として仕事をするようになった、ということですね。

山下:観光庁ができたのが2008年。そして最近になって政府も地方創生に力を入れ始めています。この動きを先取りしてきたといえると思います。

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