【6月22日 AFP】龍谷大(Ryukoku University)と大阪医科大(Osaka Medical College)などの研究チームは21日、魚のように動く小型の「泳ぐ内視鏡カプセル」を開発し、人の胃と大腸の撮影に成功したと発表した。患者の負担を減らすとして期待されている。

 大阪医大で報道陣に披露された内視鏡カプセルは、オタマジャクシに似た形で、直径約1センチ、長さ4.5センチ程度。尾びれによって消化管内を自力で動くため、人魚を表す「マーメイド」のニックネームがつけられている。

 自走式の自視鏡を、ある消化管から別の消化管へ移動させることに成功したのは初めて。方向などは磁石を使った遠隔操作で調整できる。医師が画面で監視しながら、ジョイスティックでカプセルの動きを操作する。食道から結腸まで消化管全体に対して使用でき、胃の検査ならば口から飲み込み、腸の検査ならば直腸経由で挿入することもできる。

 内視鏡カプセルの開発は1980年代から始められ、2000年代に入り広く使用されるようになった。しかし、体内に入った際の移動は筋肉の収縮に頼っていた。自走式の内視鏡カプセルは2009年にイヌの胃で初めて試験され、その後改良と小型化が進められた。

 大阪医大の樋口和秀(Kazuhide Higuchi)教授は、遠隔操作でカプセルを動かせるので、検査が必要な領域の写真を正確に撮影することができる上、患者の負担を減らし、がんの早期発見にもつながるだろうと説明している。

 この研究についてチームは、5月に米イリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)で行われた消化器系疾患に関する国際会議で発表していた。(c)AFP