「オリーブオイルとチーズをかけただけのパスタ」が、こんなにおいしいなんて!

そんな言葉を、本やテレビで目にしたことはありませんか。試してみたけれどイマイチだった、という苦い思い出もあるかもしれません。そこで、ひとつ質問です。いま台所にあるオリーブオイル、どうやって選びましたか? なんとなく輸入食品店で、なんとなく「エキストラバージン」を手に取った、という方もいるのではないでしょうか。

家庭でもすっかり馴染み深いオリーブオイルですが、選び方や保存法など、実はあまり知らないことが多いのです。そこで今回は専門家にお話を伺い、オリーブオイルにまつわる5つの質問にお答えいただきました。

 お話を伺ったのは「日本オリーブオイルソムリエ協会」の代表理事である多田俊哉さん。いわばオリーブオイル選びのプロフェッショナル。オリーブオイルにまつわる5つの質問にお答えいただきました。

■質問1. スーパーで見る「エキストラバージンオリーブオイル」と「ピュアオリーブオイル」は何が違う? また「エキストラバージンオリーブオイル」は加熱に向かない?
大きく製法が異なります。オリーブの果実を搾って油分だけ分離したものを「バージンオイル」と呼びます。その中でも味や風味などが良く、一定の基準をクリアしたものを「エキストラバージンオリーブオイル」としています。一方、「ピュアオリーブオイル」はエキストラバージンにはならなかったオリーブオイルを精製したり、さらに精製したものにエキストラバージンを混ぜたりしたものを指します。どちらもオリーブオイルなのですが、より風味を感じたいのであればエキストラバージンオリーブオイルがおすすめ、ということです。

また、エキストラバージンオリーブオイルが加熱に向かないのではありません。もちろん、使っていただいても構いませんよ。単純に価格の問題です。ピュアオリーブオイルの方が安価なため、揚げ物などでたくさんのオイルを使う場合にエキストラバージンオリーブオイルではもったいないでしょう、ということです(笑)。

■質問2. 値段が高くても、やっぱり本場のイタリア産やスペイン産を選ぶべき?
そんなことはありません。それよりも「品質」を重視すべきです。オリーブオイルの最大の敵は、光や空気にさられることで起こる「酸化」です。酸化すると、本来の味や香りもなくなってしまいます。酸化させないために、流通や販売者の品質管理が重要なのですが、徹底しきれていないというのが現状です。残念ですが、日本国内で流通しているオリーブオイルの多くは決して品質がよいとは言い切れないのです。そのため、価格が高ければ高品質とも限りません。むしろ国内の大手製油メーカーが販売している商品の方が管理も行き届いているため、品質としては一定の水準で安定していてお手軽であるといえます

■質問3. 品質のよいおいしいオリーブオイルはどうすれば買える?
オリーブオイルに精通している専門家などがいる販売店で相談をしながら買うことです。オリーブオイルには多彩な風味があります。好みに合うものを選ぶことができ、最もよいでしょう。また、当協会が今年4月に行ったOLIVE JAPAN国際オリーブオイルコンテストで選んだもの(リストはこちら)は、品質に自信をもって勧められます。

■質問4. オリーブオイルはどのように保存すべき?
酸化の主な原因は「光」と「温度」です。それを防ぐために「冷暗所」を選んでください。冷蔵庫でも構いませんが、オリーブオイルは15度以下で凝固します。凝固しても品質に問題はありませんが、使うたびに常温で溶かさないとならないのがネックですね。また、開栓したら遅くとも2~3ヶ月以内に使い切るのがよいでしょう。

■質問5. オリーブオイルが健康にいいのは本当?
アメリカ食品医薬品局は、心疾患(心筋梗塞、動脈硬化など)に対する効果を認めています。摂取量としては「1日大さじ2杯(約23g)程度」が目安とされています。加熱しても構いません。他にも、がん予防や美容効果、肝機能の強化についても研究が進んでいます。

いかがでしたでしょうか。オリーブオイルに予防効果があるとされる心疾患は、特に高年齢で起きやすい症状です。もうすぐ父の日を迎えますが、ここは健康を気づかって、こだわりの一本をプレゼントしてみてはいかがでしょう。

さらに詳しくオリーブオイルについて知りたいと思ったら、日本オリーブオイルソムリエ協会のウェブサイトをのぞいてみるのもいいかもしれません。おいしく楽しく学んで専門家になるための講座も開かれていますので、これを機により深くオリーブオイルの世界に入っていくのも面白そうです。

オリーブオイルでおいしい生活、はじめませんか?

(長谷川賢人)