SR16000モデルM1の外観
SR16000モデルM1の外観
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 日立製作所は、スーパーコンピュータ「SR16000シリーズ」に、POWER7プロセッサを搭載した新モデル「モデルM1」を追加し、2011年7月21日に販売開始する。ピーク性能は、1ノード当たり980GFLOPSで、1ラック(最大96ノード)当たり94.1TFLOPS。設置面積当たりの性能は、従来モデル「L2」(POWER6搭載)の約7倍に当たる。

 SR16000モデルM1は、32コアSMP構成のノードを、最大512ノードまでクラスタリング接続して利用する、科学技術計算用途のコンピュータである。1ノードにPOWER7(8コア、3.83GHz)を4個と、メインメモリーを256Gバイト搭載する。水冷方式により、1ラックに最大96ノードを収容する。ノード間接続は多段クロスバー・ネットワークで、転送速度はノードあたり最大96Gバイト/秒(単方向)。

 OSにはAIXを利用し、各種のクラスタ基本制御ソフトを備える。開発環境は、C/C++とFortranのコンパイラ/デバッガ、並列プログラミング用MPIライブラリや行列計算ライブラリなどを備える。

 クラスタ基本制御ソフトの例は、以下の通り。「Hitachi Cluster Shared Extended Storage for AIX」は、各ノードのメインメモリー上に仮想ディスクを作成してジョブ間のデータ転送に利用できるようにする。「Hitachi Striping File System for AIX」は、各ノードに接続した複数のストレージにファイル入出力処理を並列実行させつつ、クラスタ全体で共有できるようにする。

 なお、モデルM1は、大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)が採用し、2011年9月1日に稼働を開始する。64ノードを導入し、このうち56ノードを計算ノードとして使う。56ノード時の理論演算性能は54.9TFLOPSで、従来システムの約25倍に当たる。KEKでは、2011年9月1日から2012年1月下旬までのテスト運用を経た後、2012年3月に、SR16000モデルM1のシステムと「IBM Blue Gene/Q」による複合システムとして本稼働させる。