夏のピーク電力、大口は25%制限 政府決定
東電・東北電の管内 家庭は15~20%節電目標
政府は8日午前、電力需給緊急対策本部を開き、夏の電力需給対策を正式決定した。暑さが本格化し冷房需要が増える7~9月に、工場などの大口需要家による夏のピーク時の瞬間最大電力を25%程度制限する。東京電力と東北電力の管内が対象になる。需要と供給の両面から需給ギャップを埋め、計画停電からの脱却を目指す。
枝野幸男官房長官は会合の冒頭で「計画停電を実施しないことを原則にするという状況にもっていく」と強調。4月末をめどに具体的な内容を盛りこんだ電力需給対策をとりまとめる方針を示した。
東日本大震災で発電設備が被災した影響で、東電と東北電は供給力が大幅に低下。今夏には東電管内で最大1500万キロワット、東北電管内で330万キロワットの電力供給不足が発生する見通しだ。
需要抑制は、契約電力の大きさなどに応じて目標を設定。契約電力が500キロワット以上の大口需要家は25%、500キロワット未満の小口需要家は20%、家庭・個人は15~20%の抑制をそれぞれ目指し、東電管内では1000万キロワット以上、東北電管内では280万キロワット以上の需要を削減する。
このうち大口需要家に対しては、電気事業法に基づく使用最大電力の制限を発動。7~9月の平日午前10時~午後9時の間に、瞬間最大電力を25%程度抑制する。抑制幅は、今後さらに調整する。
企業側は休日や稼働時間をずらす輪番操業を業界ごとに実施するなどして、制限された範囲内に瞬間最大電力を抑える。
家庭向けの対策は、地方自治体や学校などを通じて節電意識の徹底を図るほか、電力需給データの表示でも節電を呼びかける。ただ大口向けの使用最大電力制限と違い強制力はなく、15~20%の節電目標を達成できるかどうかは未知数だ。
一方、東電管内では500万キロワット、東北電管内では50万キロワットの供給力積み増しを目指す。両社が被災した火力発電所の復旧を急ぐほか、ガスタービンなどを新設。自家発電設置者には売電を要請するなどして、必要な電力をかき集める。
政府は計画停電を原則実施しない仕組みに転換。計画停電は、電力の需給ギャップが解消できなかった場合のセーフティーネットと位置付ける。需要抑制などの取り組みが不十分な場合には、夏に計画停電が実施される可能性もある。
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