何ヶ月か前のウケるメールマガジン


こんな↓記事を書きました。







水野です。


ウチの事務所のポストは建物の入口すぐの場所についておりまして


色んな業者の人が広告やチラシをポスティングしていくのですが


これらのチラシは絶対に見ることがないので


そのままゴミ箱に捨ててしまいます。



これは相当な「紙」と「時間」の無駄遣いであり




こういうのがすごく気になってしまうので




ポストに↓の貼り紙をすることにしました。






チラシ・広告を入れないで!
毎日ゴミにするのが面倒なんです……。







でも、これだと味気ないと思ったので

その後にこういう文章をつけてみました。








チラシ・広告を入れないで!
毎日ゴミにするのが面倒なんです……。

でもこれだけは言わせてください。

ポスティングのお仕事、お疲れさまっス!










さて、


果たしてこの貼り紙の効果はあったでしょうか!?







1.まったく効果がなかった

2.微妙に効果があった

3.おどろくべき効果があった












答えは―――






3.おどろくべき効果があった





です。



なんと、ほとんどチラシが入らなくなったのです!




(中略)






これってすごいことですよね。


ポスティングの仕事をしている人はノルマがあって

とにかくチラシをポストに入れなければならないので

こんな貼り紙なんて無視してもいいわけです。


でも、律儀にウチのポストにはチラシを入れずにおいてくれているのです。


というわけで、


(ああ、世の中には素敵な人がたくさんいるものだなあ)


と感動していたのですが、


同時に、



(でも、最後の「お疲れさまっス!」の一文を添えるあたり、さすが俺だなあ)



と自分にも感動していたんですよね。



そんなこんなで数ヵ月経ったのですが、



なんと、昨日、ウチのポストに、



こんな↓手紙がポスティングされていたのです(レシートの裏に書かれてありました)。





$ウケる日記




(文字はこう書いてあります)


げきれい

ありがとうございます

たまには

ひまつぶしに

ごらんになってはどうですか








――この手紙を受け取ったとき、あまりの衝撃で僕の手が震え出しました。



いや、



これは一見、シンプルな手紙に見えます。



しかし、この手紙には



「営業」のすべてが含まれていると言っても過言ではないのです。





営業とは一言で言ってしまえば




「共感」と「押し」




だと思います。



他人に何かを売るということは



ある意味で「要求」をすることになります。



しかし、「要求」は相手にとってうれしいものばかりではありませんから



警戒されたり嫌がられたりします。



そこで「共感」がクッションとして必要になってくるわけです。




極端な例を挙げると、たとえば「女性をウチに誘う」場合





「今から俺のウチ行こうか」




と誘って女性が乗り気でなかった場合、気まずい空気になりますが



その雰囲気に対して




「うん、確かに、いきなりウチっていうのもね……」




と「女性が乗り気ではない」という空気を拾って「共感」すれば、気まずさを緩和できます。



しかし、



それで終わってしまっては「単なるイイ人」になってしまいます。




そこで









「うん、確かに、いきなりウチっていうのもね……ま、そのあたりの話もウチで」









となると、


(もちろん相手との関係次第では「コイツ、ウザい」となることも往々にしてありますが)




「共感」+「押し」



になります。



そして


もし、ポストに入れられた手紙が





げきれい

ありがとうございます





だけだったら、


確かに僕はうれしいですが、それで終わりです。



しかし、この手紙が秀逸なのは、



一度そこで共感をした上で





たまには

ひまつぶしに

ごらんになってはどうですか








自分の仕事である「広告」を僕に対して「押し」てきています。



これをやられるとこちらとしても



(この人のポスティングする広告だったら読んでもいいかな)



となるわけです。




そのあたりの心の機微を絶妙に読みながら、自分の要求を通してくるあたり




彼はまさに







ポスティング界の島耕作







と呼べる逸材だと言えるでしょう。







しかし、





さすがの島耕作も






今回は相手が悪かった。






まあみなさんもご存じのように




私、水野敬也は、またの名を













ブログ界のリッツ・カールトン









と呼ばれ








文筆ホスピタリティの鬼







と恐れられている男じゃないですか。


※ホスピタリティ……おもにサービス業で使われる言葉で「思いやり」や「おもてなし」を表します。




そんな僕が、


こと




「文筆」のジャンルである「手紙」において




いかに才能があるとはいえ、素人に攻め込まれたまま放置するわけにはいかないんですよ。



というわけで、



ポストに入れられた手紙を「挑戦状」だと解釈した僕は、



早速、ウチの事務所のポストの貼り紙を↓に変更しておきました。











チラシ・広告を入れないで!
毎日ゴミにするのが面倒なんです……。

でもこれだけは言わせてください。

ポスティングのお仕事、お疲れさまっス!





PS.
$ウケる日記


この手紙に見覚えのある方は

http://ameblo.jp/mizunokeiya

の4月15日の記事にアクセスするか

「ポスティング界の島耕作」

で検索してみてください。













島さんへ。



もしこのブログを読んでくれたのなら、


「島です」という手紙を添えてウチのポストに広告をポスティングしてください。


その広告はこのブログで「島さんがポスティングした広告です」と発表させていただきます。


今回の記事によって、すでに島さんのキャラクターは読者に「共感」を得ているはずなので


そんな島さんがお勧めするなら買ってみようと思う人たちも多いはずです。


そのとき、あなたの広告にはポスティング10000軒以上の価値が出ると思われ、


こうしてあなたは


本当の意味で


ポスティング界に伝説を作る



「ポスティング界の島耕作」となるのです―――。






―――ああ、すみません、


あなたとは文章でのやりとりだけで、


自己紹介もまだでしたよね。





初めまして、




私の名前は









$ウケる日記


水野ホスピタリ也と申します――。
















(お知らせ)


4月25日に新刊が発売します。


ウケる日記


「四つ話(よつわ)のクローバー」

水野ホスピタリ也 著