「放課後ティータイムII」を聴いた。その4
「冬の日」
- 1期13話「冬の日!」で律を動揺させた詞。例によって恋の一歩手前、「光る街」「辞書」「きみ」と澪ワールドなわけだが、唯一「ぼく」が主人公の曲であることに注意。律が勘違いするのもしょうがない。
- 他の曲に比べてインパクトは強くないが、ムギの作曲センスの幅広さがうかがえる佳曲。テンポも他に比べればゆっくりめなので、5人の演奏をじっくり味わえる曲でもある。唯と梓のギターの絡みや、いつもより息の成分が多めな唯のボーカルが聴きどころかな。
- 「冬の日」からはちょっと離れるが、ムギのポップセンス、意外にオーソドックスなロックンロールテイスト、今となってはレトロ感のあるシンセの使い方から、勝手にジェフ・リンを投影している。「けいおん!」は音楽ものにしては珍しく、実在の特定アーティストの名前を出すことが少ないので*1、自分の好きなアーティストや楽曲を投影しやすい作りになっていると思う。どちらかといえばクラシック畑だった子ども時代のムギが、父親のレコードコレクションからELOを引っ張り出して聴いてた、なんて想像は楽しくないですか?
「U & I」
- シングル発売時の感想はこちら。以下、基本的にCassetteMixの話。
- CassetteMixの最後に収録されているので、この時点では桜高軽音部としての、5人体制の放課後ティータイム最後の演奏。
- このテイクでは全員のリズムが突っ込んでいる!*2特に唯と梓のギターがわかりやすい。あのクールな演奏をする梓が、どれだけ熱くなっていたか。5人の高揚が音に表れた神テイク。
- StudioMixでの唯と梓によるツインリードのギターにも感動したんだけれど、CassetteMixではソロの最後で二人のフレーズが別々になる。卒業する唯と残る梓。「思い」を「音」に込め過ぎだろう。
- 初めて聴いたときちょっと呆然としてしまった。中の人(演奏者)が物語上のキャラクターの心情を理解して、その表現として意図的にこんな演奏をしたのか。ミュージシャンシップの発露として、いい演奏をしようと集中したら偶然キャラクターの心情とシンクロしてしまったのかは正直わからない。どっちにしても奇跡的な演奏であることには変わりない。
- サビのバックのムギのオルガン、歌メロに寄り添ったありふれた白玉*3のコードプレイなんだが、「いつまででも一緒にいたい」「そばにいてくれた」「ずっとずっと続くんだと思ってた」*4という歌詞と重なると特別な意味を持つ。白玉に泣かされるとは思わなかった。
- 大サビ最後「思いを歌に込めた」の律のドラムはStudioMixもLiveMixも素晴らしい。「思いをドラムに込めた」フレーズ。
- ギターソロの最後で別れた梓のギターは、少しずつ音が重なっていく大サビの最後で再び合流するのでした。完璧。
「U&I」のCassetteMixがいかに素晴らしいかを書くためにこのシリーズを始めたところがあるので、書けてほっとした。まだ曲は残ってるので、もうちょっと続けます。