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【チャンネルAJER】最新動画が掲載されました。
日本経済復興と成長に向けて その3 前編
http://www.youtube.com/watch?v=2hQDqrpCqqA
日本経済復興と成長に向けて その3 後編
http://www.youtube.com/watch?v=yBfRahGDiFk
これまで何度かお知らせいたしましたが、6月30日(木)に国家ビジョン研究会シンポジウム「日本再生の筋道とその財源を探る~増税は復興を阻みデフレを加速する~」が開催されます。(わたくしが司会)
http://kokka-vision.jp/
国家ビジョン研究会のホームページに、シンポジウムご案内のムービーが掲載されております。是非、ご覧下さい。
阪神淡路大震災からの復興の目処がついた1997年1月。橋本政権下で問題の財政構造改革会議が開かれ、宮沢元首相が以下の発言をしています。
「日本の経済は体質が弱くなっている。正月にファイナンシャルタイムズの社説で、日本は財政再建するより、まず経済の体質を改善することが先決だと書いたが、私の意見は違う。経済の体質が弱っているのは分かるが、それでもやるべきことはやらねばならない。株価が下がっているのは、市場の政府に対する落胆の現れという見方もあるが、そうではなく、実は政府がやる気なので、市場が大変だと思ったということだ。規制緩和、行革、財政改革、これはデフレである。デフレになれば大変だと思うのは当たり前だ。最初に株価が下がったときに特別減税を継続せよ、という声も出たが、それをやってはだめだ。市場の動向に振り回されて全体の方向性を見失ってはならない。(「橋本龍太郎 孤独な戦い(並木書房)P139」
すなわち、宮沢元首相は当時、橋本緊縮財政・構造改革(規制緩和、行革、財政改革)を実施すると「デフレになる」ということは分かっていたということです。
「それでもやるべきことはやらねばならない」
という、何というか非常に精神論的といいますか、印象論的な「ノリ」で橋本改革が始まったことが分かります。
結果は、無残なものになったのはご存知の通りです。
最近の増税論も、宮沢元首相的な「ノリ」を引きずっており、
「増税すると、国民の支持を得られないかも知れない。それでもやらねばならない」
といった、何というか意味不明な自己犠牲精神、あるいは妙ちくりんなヒロイズムに基づき推進されているのが、頭が痛いところです。現時点(デフレ下)で増税すると、犠牲を払わされるのは日本国民です。
税金とは、国民所得(GDP)から政府に分配されるお金と捉えることができます(というか、統計的にそのままです)。ちなみに、国債発行にしても、GDPから貯蓄に回ったお金を政府が借り入れるだけなので、いずれにしても源泉はGDPになります。
いつの頃からか、日本の政治家は「政府が使うお金」の源泉であるGDPの成長を無視し、あるいは優先順位を下げ、増税や社会保障について発言するようになりました。と言うか、恐らく税金や国債の源泉が「過去もしくは現在のGDP」であることを理解していない政治家が増えたのだと思います。
だからこそ、
「国債発行は未来からお金を借りることだ」
のような、奇妙な論説がまかり通ってしまうわけです。
ギリシャのように「外国の所得」からお金を借りるのであれば、未来のギリシャ人が負債を返済しなければならないため、「未来からお金を借りる」でも合っているのでしょうが、日本の場合は違います。現在、日本政府が借りたお金は、あくまで過去の民間が稼いだ付加価値(GDP)のうち、消費に回らなかった貯蓄を借りているわけです。すなわち、日本において国債は「過去の貯蓄からお金を借りること」ということになります。実際、お金の流れを考えると「統計的」にそうなってしまうのです。
「過去の日本国民が付加価値を稼ぎ、一部を貯蓄に回した」
「デフレ下で投資先が乏しく、貯蓄が誰にも借りられないまま過剰貯蓄化している」
「それを政府が借り入れ、民間の代わりに支出する(GDPに回す)」
これが、日本の国債発行の仕組みというわけです。
そういう意味で、経済学者の小野氏が言う「税金で過剰貯蓄を吸い上げ、政府が支出するというのは「統計的」には間違っていないわけです。
問題は、デフレ下で増税をした場合、原資たるGDPの縮小は免れず、国民経済が先細りになってしまうことが明らかという点です。冒頭の橋本政権による消費税アップにより、98年の日本経済はマイナス成長に落ち込み、財政は却って悪化しました。
増税を主張する人は、「増税が成長に結びつく」ことを論理的に説明するか、あるいはせめて事例を持ってこなければなりません。ところが、現実には「精神論」「意味不明なヒロイズム(やらねばならない!)」的な説明以外は聞いたことがないわけで、だからこそ現時点の増税には反対せざるを得ないわけです。
もっとも、分かっている政治家さんもいらっしゃいます。
『原発の経済性力説 麻生元首相が講演 新居浜
http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20110627/news20110627937.html
自民党の麻生太郎元首相が26日夜、新居浜市のホテルで「これからの政治と、日本の再生」と題し講演。東日本大震災を受け迷走を続ける菅政権に「政府が変わるたびにエネルギー政策が左右したら大変なことになる」と指摘。次期衆院選で脱原発への賛成、反対は争点にならないとの考えを強調した。
党県第3選挙区支部が主催。麻生氏は太陽光発電で代替した場合、設備稼働率の違いなどから電気料金が原発の10倍に跳ね上がると主張。「工場は海外に流出し、失業者が増える。その失業保険は、いったい誰が払うのか」と国民負担が増すことになると見通した。
社会保障と税の一体改革で財政再建へ意欲的な菅政権には「政府が今やるべきは財政再建ではなく、復興が緒に付くまでの財政出動だ」と述べ、港湾や道路などの社会資本の充実、電柱の地下埋設などを例示。国内総生産(GDP)の2~3%成長も可能になるとの見方を示した。』
政治とは、結局のところ優先順位の問題なのです。特に、経済分野においては、「○○主義」などというイデオロギーは無用の長物です。
政府が国債を発行し、復興や成長を実現し、名目GDPが健全な成長路線に戻れば、その後、増税を考えればいいだけの話です。インフレ率が、たとえば5%を超えて上昇するような局面であれば、わたくしにしても増税に反対しません。と言うか、むしろ、
「政府はさっさと増税しろ!」
と叫びます。
財務省が増税したいのであれば、さっさと日本の名目GDPを成長させれば良いわけですが、なぜかそちらの方向にはいきません。
現在のまま「税金の原資」たるGDPが縮小していけば、間違いなく日本の財政は悪化します。すると、財務省は「財政健全化のための増税」を言い出しやすくなり、実際に増税をすると、GDPがまたまた縮小し、日本の財政は悪化します。すると、またもや財務省が「財政健全化のための増税」を言い出しやすくなり、国民を痛めつける悪循環が続いていくわけです。
いい加減にこの悪循環を断ち切らなければ、冗談抜きで日本の将来は暗澹たるものになってしまいます。そうしないためにも、国民経済などに関する正しい情報を国民が理解し、政治に向けて声を上げていかなければならないと考えるわけです。
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