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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『サンダーストーン 完全日本語版』インタビュー(2010年11月)
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『サンダーストーン 完全日本語版』インタビュー

 きみは冒険者パーティのリーダー。村を守りたい一心で志願した民兵たちを従え、たいまつを手に迷宮にもぐろう! 立ちふさがるモンスターどもをなぎたおし、手に入れた報酬で装備品を買い、英雄を募り、迷宮のさらに奥へと足を踏み入れる――伝説の〈雷石〉を見つける、その日まで。

 
「デック構築型/セレクトカードゲーム」という新しいジャンルが切り拓かれてから、はや2年。2010年秋、『ドミニオン』 に追いつけ追い越せ! と海外で大人気の 『サンダーストーン』 が、いよいよ日本に上陸します!
 そこで、翻訳を手がけたグループSNEの安田均に、『サンダーストーン』 の魅力をたっぷり語ってもらいました。聞き手は“「民兵」大好き”柘植めぐみです。

 『サンダーストーン 完全日本語版』

2010年11月6日発売 アークライト

マイク・エリオット作
安田均/柘植めぐみ訳


2010年11月 発行
執筆:柘植めぐみ



1.苦労の道のり

安田 みなさん、お待たせしました。ファンタジーRPGの雰囲気を楽しめるカードゲーム、『サンダーストーン』がいよいよ登場です!
柘植 いろいろありましたね(感無量)。
安田 本当はJGCに間に合わせたかったんだけど、生産地がいきなり中国に切り換わったりして、もたもたしてしまった。これは制作元であるAlderac Entertainment Group社(以降、AEG社)の問題なんだけどね。それでも9月にはなんとか出せると思っていたら、だんだん雲行きが怪しくなってきて……なんでも中国の港で荷物が止められてしまって、日本に来ないとか。
柘植 ちょうど(尖閣諸島問題で)日本と中国がもめていましたからね。
安田 まさか政治の影響をゲームが受けるとは、思いもしなかった。「本当に出せるんだろうか?」 とハラハラしたね。
柘植 はい、よくぞ日本に届いたものです。
安田 そのへんの事情は、このあいだエッセン/シュピール(ドイツで毎年10月に行われるボードゲームの一大イベント)に行ったとき、AEG社の社長からいろいろ聞いてきたよ。
柘植 といいますと?
安田 ほんと、日本からのクレームだけではなかなか出荷してれなかったそうなんだ。でもAEG社の社長が 『はよやらんか!』 と言ったら、動き出したらしい(笑)。
柘植 日本には強くて、アメリカには弱い(苦笑)。
安田 というわけで、今後はスムーズに進行できるように体制を整えてきた。みなさまのお手もとにも、そろそろ届くころじゃないかな。500枚以上のカードが入って、定価はなんと……。
柘植 4200円(+税)!
安田 コストパフォーマンスのとてもよい商品だね。


○ 『サンダーストーン』に入っているカード

サンダーストーンカード 1枚
参照カード 5枚
経験点カード 32枚
ランダム決定カード 38枚
モンスターカード 80枚(8種類10枚ずつ)
基本カード 90枚(5種類)
英雄カード 132枚(11種類12枚ずつ)
村カード 152枚(19種類8枚ずつ)
仕切りカード 50枚

○ 「デック構築型/セレクトカードゲーム」とは?

 ゲーム開始時、各プレイヤーが持っているのはわずかなカード。しかしゲームが進むにつれ、各自が思い思いにカードを購入し、自分だけの「デック」を作っていく――それがデック構築

 箱のなかには山ほどのカード。50種類ほどのものが十枚前後ずつ(あるいはもっと)あるけれど、毎回使うのはランダムに選んだ一部のカードだけ。つまり、遊ぶたびに違う組み合わせが楽しめる――それが「セレクト」

 
「デック構築型/セレクトカードゲーム」は、まったく新しいゲームスタイルです。


2.『サンダーストーン』を作った人たち

安田 ドイツではAEG社の社長だけじゃなく、デザイナーであるマイク・エリオットにもいろいろ話を聞いてきたよ。
柘植 おおっ!
安田 詳しくは、この冬発売の 『ゲームリンクVol.6』(アークライト) に掲載される秋口ぎぐるのエッセンレポートをどうぞ!
柘植 (がくっ)……そ、そうおっしゃらずに、ちょっとだけでも。
安田 AEG社の社長はジョン・ジンサーという人なんだけど、じつはぼくが会うのは初めてじゃなかったんだ。むかしまだAEG社ができたてのころに、Gencon(アメリカで真夏に行われるゲームの祭典)で会ってるんだよ。言ってみれば、AEGという会社が大きくなるのをぼくはずっと見てきたんだ。とても他人とは思えない会社だね。
柘植 そういえばAEG社はむかしから、TCGやRPGを作っていましたよね。
安田 うん、『Legend of the Five Rings』 というTCGが人気を博した。「Five Rings」、すなわち「五輪の書」。ぼくが行ったときも、「日本人なら五輪の書くらい知ってるだろう、 ぜひ買ってくれ!」 と言われたっけ。



 ちなみに 『五輪の書』 とは、宮本武蔵が記したと言われる兵法書です。五輪とは、地・水・火・風・空のこと。おや? 「空」「雷」と考えれば、『サンダーストーン』 の拡張セット第1弾に出てくる5体の精霊王と同じ……?



安田 当時はちょうど、スティーブ・ジャクソン・ゲームズ社やホワイトウルフ社が伸びていたころでもあったんだ。
柘植 ということは……もう15年くらい前ですか? そんなにむかしからAEG社はあったんですね。
安田 とても元気な会社で期待していたら、ぐんぐん伸びていった。
柘植 最近はボードゲームもたくさん出していますよね。
安田 ドイツで盛んだったボードゲームがアメリカに伝わって以降、Z-man社やFantasy Flight Games(FFG)社が大きくなったけれど、AEG社はなんといっても、『ドミニオン』 につぐデック構築型/セレクトカードゲーム『サンダーストーン』というヒット作を出したことで注目された。
柘植 なるほど、AEG社という会社のことがよくわかりました。


3.なんといっても世界観!

柘植 さて、ゲームの内容ですが……やはり 『ドミニオン』 っぽい(苦笑)?
安田 デザイナーのマイク・エリオットに言わせると、「『ドミニオン』 はよいゲームだけれど、なにかが足りない。そうだ、“目的”だ!」と思ったらしい。彼は 『D&D』 が大好きなので、RPG風味を付け加えたというわけだ。
柘植 確かにそういうゲームに仕上がっていますね。
安田 ただ意外だったのは、彼(エリオット)がゲームのすべてを作って売りこんだのかと思っていたら、じつは世界観は全部、社長のジンサーが作っているらしい。
柘植 ほう……?
安田 〈サンダーストーン〉という石が順番に発見されて、それにつれて世界が広がっていく……という構想は、すべて社長が思いついたものなんだそうだ。
柘植 それってどこかで聞いたような……。
安田 うん、まさしくぼくたちの 『モンスター・コレクションTCG』 『六門世界RPG』 みたいだね。ぼくの作った〈六門世界〉という舞台で、加藤ヒロノリがゲームをデザインするという。
柘植 ……ますます他人とは思えなくなってきました(笑)。
安田 『サンダーストーン』の世界は、これからどんどん明らかになっていくらしい。日本でもストーリー展開したいと言ったら、ぜひやってくれ、と言われたよ。
柘植 つまり、小説を書いてもよいということですか?
安田 うん、みなさんからの応援があれば、そういうこともできるかも。
柘植 そのためにも、まずはこのゲームを面白いと思ってもらわないと。


4.つぎつぎ発売される拡張セット

柘植 基本セットにつづいて、アメリカではすでに拡張セットが2つ発売されていますよね。第弾が 『Wrath of the Elements(精霊王の怒り)』 で……。
安田 弾の 『Doomgate Legion(〈宿命の門〉の軍団)』 は、ちょうど2010年のエッセンで発売されたばかり。
柘植 じつはまさにこのインタビューの10分前、わたしたちはその拡張セット第を遊びました。ちなみに結果はボスの圧勝!
安田 (頭かきかき)……もちろんAEG社の社長もゲームが大好きで、エッセンでぼくたちが持ちこんだゲームも快く遊んでくれたんだけど……彼もゲーマーだったよ。『サンダーストーン』 ではどうしてもディベロッパーのマーク・ウートンという人に勝てなくて、「でもやっとこのあいだ勝てたんだ!」と嬉しそうに話していたっけ。
柘植 どこの社長も、ゲームを遊ぶときは本気なんですね。
安田 ウートンという人が、「ふふふ、ぼくに勝ってみなさいよ、社長」 ってけしかけるらしいよ。
柘植 ……いますいます、そういうタイプ(苦笑)。話は戻りますが、日本でも拡張セットはしっかり出していきたいですよね。
安田 拡張セットには新しい要素も入っていて面白いからね。にはが、には宝物が登場する。
柘植 まさにRPG!
安田 もちろん、モンスターや装備品の幅も広がってるよ。村人に“傭兵”というカテゴリーができたり。それに、なんといっても英雄カードがすごい。
柘植 基本セットには英雄が11種類入っていたんですけど、拡張セットではさらに種類ずつ増えているんですよね。『サンダーストーン』の英雄って、職業(クラス)じゃなくて“種族”みたいなんですが……この世界、いったいどれだけ多種族が住んでいるんだか。
安田 エルフやドワーフはともかく、魔法に秀でたセルーリンとか、食べ物で強くなるシリアンとか面白いよね。
柘植 拡張セット第では病気の種類も増えていてびっくりしました……おっと、話がつい先走ってしまいました。まだ基本セットが出たばかりですのに、すみません。
安田 いやいや、そのくらい世界観が気になるゲームなんだ。早くストーリーとか知りたいよね。


5.そして重大発表!

安田 『サンダーストーン』 の遊び方については、雑誌でも記事を連載しているので、ぜひ参考にしてほしい。
柘植 『Role & Roll』 では大井雄紀「正しい雷石のつかみ方」 を、『ゲームリンク』 では河端ジュン一「サンダーストーンの雷撃!」 という紹介&攻略記事を書いています。
安田 攻略と言えば、『サンダーストーン』 では 「民兵」 を廃棄してデックを圧縮するという方法があるけれど……柘植はどうしても 「民兵」 が廃棄できなくて勝てないんだよね?
柘植 うっ……だ、だって、「民兵」も英雄なんですよ? 集まれば強いんですよ? なのにみんな、すぐに 「民兵」 をお金に換えたり経験点に換えたり……。
安田 「道場主」「質屋の主人」 っていう村カードがあると、どうしてもデックの圧縮に走ってしまうんだよ。効率いいし。
柘植 ……というのを実感したい方は、早く遊んでみてください。そして、「民兵」 を大切にした勝ち方を、誰か教えてください!
安田 無理無理(苦笑)。
柘植 (ぐすん)……そういや、最初にお聞きするべきだったんですが、SNEで翻訳することになったきっかけはどういうことでしたっけ?
安田 AEG社が 『サンダーストーン』 というデック構築型/セレクトカードゲームを作ったという話は聞いていたんだけど、最初はあまり話題にならなかったんだ。2009年のエッセンで出るはずだったのが遅れて、年を越して出たこともあってね。でもじっさいに遊んでみたら、ちゃんと 『ドミニオン』 みたいなゲームで、でもすごくファンタジー風味があって、「これはいいじゃないか!」 と、ぼくからアークライトに話を持ちこんだんだ。
柘植 今年の春ごろでしたよね。
安田 AEG社もあまり売れないと思って、少ない数しか作らなかったんだろうね。人気が出たとたんに品切れになって、しばらく手に入らない時期がつづいたっけ。
柘植 でもボスはちゃっかり目をつけておられたんですね。初めて遊んだときのこと、覚えていますよ。ボスが素読みでルールを説明してくださって、すごく面白かった。自分だけの冒険者パーティを作るのも楽しいし、毎回違う英雄やモンスターが登場するのも新鮮で飽きが来ないんです。
安田 もともと、AEG社ならしっかりしたものを作るだろう、という信頼もあったからね。そういえば、AEG社は来年(2011年)、ホラーを題材にした新しいデック構築型の 『Nightfall』 というカードゲームを出すらしい。
柘植 ホラーのセレクトカードゲーム? どんなゲームになるのか楽しみですね。
安田 これからもAEG社には要注目だ。ぼくたちも、負けないようにがんばっていきたいね。
柘植 おっ、いよいよ発表ですか。じつはSNEからも、デック構築型カードゲームを出すことが決まりました! ぱちぱちぱち(拍手)。
安田 まずはとして、この冬に 『エンドブレイカー!』 カードゲームが発売される予定。まったく新しい形を呈示しているから、ぜひとも期待してほしい。もう1つ、ぜんぜん違うタイプのデック構築型/セレクトカードゲームもテストプレイ中。そちらも楽しみにしておいてください!
柘植 1つの大きな流れが来ているのを肌で感じますね。それでは、最後に一言、お願いします。
安田 『サンダーストーン』を初めとするデック構築型/セレクトカードゲームは、新しくて面白いゲームスタイルです。ぜひともみなさん、遊んでみてください!




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