シェイブテイル日記2

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「現預金の価値」がそれほど重いものなのか

12月12日の日経電子版に、少し変わった表現の仕方の金融緩和否定論が出ていました。 筆者はコモンズ投資証券会長の渋沢健という方です。

 金融緩和があなたの現預金を脅かす  カリスマの直言(渋沢健氏)
日経2012/12/12
 衆院選後の新政権発足に向けた「デフレ脱却のための大胆な金融緩和」という掛け声で、為替が円安に転じ株価が上昇した。

 だが金融緩和が実施されれば、日本国民の大半が資産として保有している現預金には「価値の保存」の持続性へのリスクが高まる。いままではデフレと円高により、円の現預金の価値は世界で最も成績が良い金融商品だった。過去から確実に一直線で未来が描ければ、円の現預金リスクは今後も問題ない。

 しかし、未来とは一直線で描けるような確実なものではなく、周期性があり、一般的に想定されていなかったことも起こり得る。今後、日本の国民は円の現預金のリスクを直視しなければならない時代を迎えることになる。

 現預金の価値を政府が政策的に下げようとしていることを、国民が十分に理解していない状況で、政府が金融緩和に踏み切ることにはモラルハザードを感じる。

「金融緩和により、現預金の価値の保存の持続性へのリスクが高まる」というのは、分かりやすい言い回しで言えば、マネーの価値が毀損される、ということでしょうか。

 すでに十分なインフレという経済条件下に金融緩和・紙幣増発をすれば、そのマネーの価値が毀損されるのは確かでしょう。
 しかし、デフレの場合にも同様に、ただ単にマネーの価値が毀損されるものなのでしょうか。

リフレ政策・金融緩和などにより、デフレ下の民間(非金融部門)にマネーが純増したとします。
デフレである以上、これが簡単に価格上昇には結びつきません。 だからデフレ、ともいえます。
増加したマネーは、失業した人の雇用増加や遊休設備の稼働により、商品・サービス製造を引き起こします。
これにより失業していた人々に雇用機会が生じ、新たな設備投資も惹起します。
こうしてデフレギャップが埋まっていきます。

効果的なリフレ政策でインフレ転換が起きる時、民間に増えたマネーにより設備投資増加や失業率低下が始まり、不況から好況に転換します。 
サラリーマンの給料は上昇に転じ、リストラもほとんどなくなるでしょう。新卒者の就職率も当然上がります。 
配偶者を持てるだけの年収が見込めるようになれば、未婚率は低下し、特殊出生率は上がり、中長期では少子化抑制もできるでしょう。
更には自殺率が下がる、国民の気持ちが前向きになるなどの大きな効果も見込めます。
また減価した不動産や株式などの資産価値も上昇します。

少し考えてもこれだけメリットがあるインフレ転換が金融緩和などのリフレ政策で可能だとすれば、マネーの価値がわずか年率2%程度下がるなどというデメリットはほとんど無視し得るものだと私は思います。

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