危険! 怖い! 系のパフォーマンスの中でも有名な、口から火を吹く、剣を飲み込む、ガラスの上を歩く、火の上を歩く、針のベッドに寝る等々...。
今や多くの移動式サーカスにとって、その主役は動物ではありません。ほとんどのパフォーマンスは、とんでもない才能のプロのエンターテイナーによるものです。どうやったらこんなパフォーマンスが出来るのか、気になりますよね? むしろ子供の頃から気になっていますよね? どうやってこんな危険なパフォーマンスを実現しているのか、タネ明かししていきましょう!
でもこの記事を見てサーカスの真似事をやるのは危険なので絶対オススメしません! 本当にやってみたいという方は、学校などプロのきちんとした指導のもとでチャレンジしてくださいね。
火を吹く
[image by jeffbalke]
火を吹くパフォーマンスは比較的簡単に習得できるようですが、それでも完全にマスターするにはとても難しいですし、周りのメンバーとパフォーマー両方にとってかなり危険な技です。ミスは致命的なので、アマチュアのパフォーマーは炎を使い始めるまでに、長いこと水で練習するようです。
火を吹くパフォーマンスの基本はシンプルです。手に持った炎に口から燃料を吹きかけるだけです。この燃料を上手く吹くのに、練習が必要です。キレイな霧状に燃料を吹かなければ、火は地面に落ちて燃えてしまうでしょう。
もし低い角度で吹いてしまうと、周りのメンバーやパフォーマー自身に当たってしまうかもしれません。高く吹きつけてしまうと、パフォーマー自身に降りかかってしまうしれないし、風がジャマをするようになると、さらに難易度はあがります。木やステージ機材や周りのメンバーには注意を払いながらパフォーマンスしなければなりません。火の危険性を抜きにしても、パフォーマーがケロシン(灯油)を吸い込んでしまって、体に害を及ぼす可能性もあります。
火を吹くパフォーマンスを行いたいなら、上方向に60〜80度の角度に向かって水の霧を吹く練習をすると良いでしょう。いけるんじゃないかと思っても、燃料を使う前に、必ずプロがいる所で行ってくださいね。
詳しく知りたい方は、こちら(英語)をご覧ください。
剣を飲む
[image by Thairms]
咽頭反射、いわゆるあの「おえっ!」とならない人なら、剣を飲むパフォーマンス向きです。剣を飲むためには、パフォーマーは真っ直ぐで固い鉄のかたまりを消化管をつたって、お腹の中まで流し込む必要があります。このパフォーマンスに使われる剣は鋭くはないのですが、きちんと飲み込まれなければ、消化管のデリケートな組織を傷つけてしまう可能性が高いのです。火を吹くパフォーマンスのようにこの剣を飲むパフォーマンスはとてもベーシックな芸ですが、正しく行われなければ、これもまた致命的になります。
剣を飲むには、相当の練習量が必要です。危険と隣り合わせであるだけでなく、「おえっ」となる衝動を無視し、食事の際に使われる不随意運動に負けないよう体を鍛えなければなりません。
咽頭反射は、最初に克服しないといけませんが、より長いものを飲み込むためには、ものを食べるときのように上部食道括約筋が収縮するのを防がなければなりません。通常では胃に食べ物を速く運ぶためにはよい反射ですが、消化管に15インチ(約38センチ)の剣を入れるとなると、収縮運動があっては不可能です。剣の長さにもよりますが、腹腔内にまで届く長さのものが多いので、下部食道括約筋も収縮しないように訓練しなければなりません。また、このような体の中の動きをコントロールするだけでなく、パフォーマンス中に苦しくないよう見せる必要があります。
もちろん火を吹くように、この技もプロのトレーナーと一緒に訓練する必要があります。それでもトライされるようでしたら、短剣から初めて、だんだん長くしていってください。しかし、Sword Swallowers Association(剣飲み協会)によると、最低でも15インチ(約38センチ)のものを飲み込むまでは、剣飲み達人としては認められないようです。剣飲みのリスクや方法について詳しくは、こちら(英語)に詳しくあります。
ガラスの上を歩く
[image by stevendepolo]
火を吹いたり剣を飲むパフォーマンスより、ガラスの上を歩く方が、うまくごまかせるようなら、圧倒的に短い時間で習得できるはずです。
友達や家族を驚かせるだけなら、ハリウッド映画でガラスを割るシーンで使われる砂糖ガラス(キャンディーガラス)がありますね。それでも鋭利なものであることには変わりありませんし、パウダー状やシロップ状のカスを残して芸を台なしにしてしまうかもしれませんので気をつけてください。
しかし多くの大道芸人は本物のガラスを使ったとしても、細かい切り傷はできるかもしれませんが、うまくケガを回避しながらパフォーマンスを行います。
トリックのタネは、ケガのリスクを最小限にするためにうまくガラスを配置する方法にあります。ほとんどのパフォーマーが割れたワインボトルを使うことが多いです。というのも緩やかなカーブが、ギザギザの尖った角を減らしてくれるのです。
またガラスの道は通常厚く敷かれます。これによって足裏に触れるガラスの面積が大きくなり、細かく尖った危険なガラスは下側に振り落とされます。いったん配置が完成すると、パフォーマーは、圧力がかかる前にガラスがうまく固定されるよう、ゆっくりとゆっくりと歩みを勧めます。鋭利な場所に踏み出してしまった場合には、ケガしないよう場所を変えます。
詳しく知りたい方は、こちら(英語)をご覧ください。
火の上を歩く
[image by Aidan Jones]
この芸については、準備が全てです。火は燃え続けていますが、パフォーマンスを行うころには熱は比較的収まってきています。
パフォーマーが燃えている炭の上に直に足を乗せないように、灰が降りかけられます。準備はここまでです。あとはパフォーマーが走ることなく、きびきびと歩くのみです。ここが難しいところですが、ドラマチックに見せられるよう長く、しかし足裏に熱が移らないぐらい速く歩く必要があります。
仕掛けについて詳しく知りたい方は、こちら(英語)をご覧ください。
針のベッドに寝る
[image by dolmansaxlil]
針のベッドに横たわるパフォーマンスは、ガラスや火の上を歩く芸に似ています。
ちょっとした知識と正しい準備で出来るようになります。
詳しく説明しなくても多分イメージしていただけると思いますが、狭い間隔で配置された針の上に体全体で横たわったとき体重は分散され、一点にかかる圧力は小さくなります。
最も難しいポイントは実際に寝そべる、もしくは起き上がるときです。手を使ってバランスを取ろうとすると圧力がかかりすぎて、肌を痛めます。ですので、その代わりに針のベッドの端にしゃがんで、ゆっくりと腰を下ろし、それからゆっくりと後ろに倒れながら足を上げ、フラットに横になります。ここで、頭を針に押し付けすぎないように注意して行う必要があります。
詳しくはこちら(英語)をご覧ください。ご自身で針のベッドを作りたいと思った方は、こちら(英語)に作り方がありますよ。
以上がサーカスの芸の基本です。
剣を飲むのもガラスや火の上を歩くのも、特別な魔法みたいな仕掛けがあるわけではないのですね。思った以上にサーカスの芸は気合と根性と努力で成り立っているのですね...。これを見て真似をしたいと思う人はそんなにいないと思いますが、良い子の皆さんは危険ですので絶対に一人で真似してはいけません。
Jill Harness - Neatorama(原文/mayumine)