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Channel AJER更新しました。今回は朝日新聞などが大好きな「バラマキ」という単語について考えてみました。
『バラマキを定義する①』三橋貴明 AJER2012.7.24(1)
http://www.youtube.com/watch?v=GP4uNkcHHBs
『バラマキを定義する②』三橋貴明 AJER2012.7.24(2)
http://www.youtube.com/watch?v=zyaxIqVRT4M
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8月26日(日)15時-山陽小野田市シンポジウム「企業誘致フォーラム」 開催
8月30日(木)18時30分-大阪「三橋貴明が語る!政治・経済の真実『メディアの大罪』 」講演会開催
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本日は早朝からチャンネル桜「報道ワイドウィークエンド」http://www.ch-sakura.jp/hodo.html の収録があり、午後は大阪で読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」(書き間違いではありません)http://www.ytv.co.jp/takajin/ の収録があり、さらに夜は東京で藤井聡先生、上念司先生との対談収録(経済塾のホームページ にアップされます)があるという、無茶苦茶な一日でございます。
また、7月28日(土)は13時からテレビ大阪「たかじんnoマネー」に、30日はテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」に出演します(両方とも過去の収録分です)。
さて、前原氏です。
『国土強靱化「絶対認めぬ」=前原氏
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012072500459
民主党の前原誠司政調会長は25日、都内で講演し、自民党が次期衆院選の看板政策に掲げる200兆円規模の「国土強靱(きょうじん)化」について「昔の政治に逆戻りするのかという感じがする。公共事業をまたばらまく先祖返りだけは、絶対に認めてはいけない」と厳しく批判した。
前原氏は「大事なことは安定的な社会保障をしっかり提供できるようにすることだ」と指摘。「経済成長につながる分野に予算を集中投下し、民の力を引き出すことが何より重要だ」と強調した。』
講演全文を読まずに批評するのはアンフェアかも知れませんが、あえて言いましょう。「使い古されたフレーズ」で論評するのは、もういい加減にやめた方がよろしいのでは。
「公共事業をばらまく」
「先祖返り」
などなど、印象的なフレーズのみの抽象論を語り、「国民の生命と安全を守る投資」について批判する。挙句の果てに、相変わらずの「コンクリートから人へ」という、日本の国土的条件からは成り立たず、さらに言えば高度成長期から「統計的」に否定されている「社会保障」への傾斜。
さすがに、「経済成長なしの、社会保障充実は有り得ない」ことは理解されているのかも知れませんが、「経済成長につながる分野に予算を集中投下」と、まるで社会主義国のような設計主義。しかも、民主党の場合は「成長戦略」が、「医療・環境などで雇用創出600万人」(日本再生戦略より)と、相変わらずの抽象論。(とってつけたように「民の力」とか言っていますが)
わたくしはデフレギャップがある環境下においては、
「デフレギャップを埋めるために、政府支出で有効需要を創出せよ」
と主張していますが、日本の経済成長が「政府主導」で実現できるなどと考えたことはありません。デフレギャップが拡大している国の政府がやるべきことは、次なる成長のための「基盤整備」であり、その上は民間主導でやらなければならないのです。無論、資源や宇宙開発、高度なインフラストラクチャーの整備など、民間がやりにくい(リスクが高すぎるため)事業は政府がやるべきですが、資本主義国は政府が整備した「基盤」の上で、民間主導で成長しなければならないと信じています。
具体的な例を出しておくと、ルーズベルトのニューディール政策によるフリーウェイ建設です。
大恐慌期のルーズベルト政権は、デフレ深刻化と名目GDPの縮小により、税収が30年の40億ドルから32年には20億ドルに激減する中、民間投資の「呼び水」となる財政支出拡大策に転じました。税収が減る環境下で財政支出を拡大するわけですから、当然ながら財源は国債発行になります。何しろ、当時のアメリカの長期金利は2%を下回るような状況でした。(当時としては「異様に」低い金利水準です)
【アメリカの長期金利の推移 超長期(単位:%)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_38.html#USIntLong
ルーズベルト政権成立期の米国債の発行残高は200億ドルで、対GDPで見ると20%程度でした。それが36年時点では337億ドルに急増し、対GDP比の値は40%に高まります。さらに、41年に日本との戦争も始まり、アメリカの政府支出は拡大していきました。対日戦争中、ルーズベルト政権はFRBによる米国債の買い入れ額も増やし、政府支出のための財源を確保しました。
戦争が終わったとき、アメリカの国債発行残高はGDPの120%に達していたわけですが、失業率は2%と、ほぼ完全雇用を達成し、国民の所得は29年時と比較してさえ大きくなっていました。すなわち、国民が豊かになっていたのです。その後、アメリカは所得が増えた国民の消費を中心に経済成長を遂げ、国債発行残高の対GDP比率を引き下げていきました。無論、「国の借金で破綻!」などということは起きませんでした。何しろ、当時のアメリカは経常収支黒字国かつ世界一の対外純資産国だったのです(=世界一のお金持ち国家)。
前半期(対日開戦前)のルーズベルト政権は、ニューディール政策の一環として国内に無料の高速道路、すなわちフリーウェイを敷き詰めていきました。その上を走る自動車をGM、フォード、クライスラーなどの「民間企業」が開発、販売していったからこそ、アメリカは現代に続く「車社会」を実現することができたのです。
なぜ、社会基盤の上の「アプリケーション」を民間がやらなければならないかといえば、単純に「市場競争」が品質を高め、コストを引き下げるためです。逆に、社会基盤整備をなぜ政府主導でやらなければならないかと言えば、以前も書きましたが公共事業などは全てオーダーメイドで、市場競争が存在しにくいためになります。
要するに、「市場競争」が適している分野は民間主導で、「市場競争」が存在せず、かつ短期的な利益を出しにくい分野は政府主導でやらなければならず、国家は常にその「バランス」を考えなければならないという話に過ぎません。少なくとも現在の日本は、デフレが深刻化し、かつ高速道路の整備状況で韓国の後塵を拝しているような有様なのですから、「政府による社会基盤整備」に注力するべきだと考えるわけです。
しかも、現代世界において、ルーズベルト政権期と経済的条件が似ている国は、文句なしで日本です。安定した経常収支の黒字、世界一の対外純資産、そして極端なまでに低い金利水準。
冗談抜きで、日本は次なる世界経済のモデルに「ならねばならない」立場にあると信じています。しかし、前原氏の発言を見るまでもなく、国内の情報の歪みが「日本の成長」を妨害しています。この種の「妨害」を排除するためには、様々なメディアで(口コミ含みます)、できるだけ多くの人が「正しい情報」を発信し、交換していかなければならないのです。
とはいえ、逆に言えばそれだけでいいのです。「この程度」のことも実現できないのでは、情報不足の中で「正しいデフレ対策」を実施した、わたくしたちのご先祖様(高橋是清時代の政治家や国民)に顔向けができないと思うわけでございます。(高橋是清の時代について知りたい方は、ようやく在庫が戻った小学館「コレキヨの恋文
」をお読みくださいませ)
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積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
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