大阪市の職員採用における“口利き”が問題視されている。橋下市長の指示により職員の採用経緯を調べていた第3者調査チームの報告によると、ごみ収集などを担当する環境局の履歴書に、市議や組合役員の名前を消しゴムで消した跡が多数見つかったというのだ。

「実は、これにはマヌケな裏話があるんですよ」と、大阪市政を取材する地元記者が打ち明ける。

「調査員が抜き打ちで、市のある職場に赴いたところ、驚いた幹部職員が『昼休みなんで、ちょっと待っといてほしい』と言い、しばらくたった後、控室に案内した。すると、その部屋の隅で何人かが作業をしていた。調査員が『何をしてるんですか?』と聞くと、『さっき上から言われて付箋(ふせん)をはがしているんです』との答えが返ってきた。で、よく見ると、それは採用面接に使う履歴書だった。それを怪しく思った調査員が追及したところ、“口利き”らしき痕跡が突き止められたそうなんです。つまり、突然の調査に慌てた幹部職員が部下に証拠隠滅を命令。しかし、慌ててしまったのか、まさに工作が行なわれている現場に調査員を案内してしまったわけです」

 ほかにも、調査報告書では、「地下鉄やバス営業所内にトレーニングルームや卓球台を許可なく設置」「組合幹部のバス運転手が月数回しか稼働せず、組合活動をしている」などなど、税金で働いている公務員とは思えないような実態が次々と明らかになった。

 とんでもない労働実態と同時に、隠蔽体質まで発覚。橋下市長が怒りをあらわにするのも当然だ。

(取材/ボールルーム)

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