これまで、100通を超えるさまざまなご意見をいただいた。御礼申し上げたい。

 この問題を考える際にどうしても理解して頂きたいのは、(少なくとも東京電力、東北電力の管内では)「電力利用のコストが何らかの形で上がること自体は、絶対に不可避」ということである。これまでも何度も述べてきたことなのだが、もう一度繰り返したい。

 問題は、「どのような形で利用コスト上昇を実現するか」なのである。明示的な料金引き上げを行なわなければ、「一定時間帯使えない」(ことによって発生するさまざまな不都合)という形でコストを負う。そのコストは、明示的な料金引き上げに比べて、確実に高い(必要度の高い用途も一律にカットしてしまうからである)。そして、不公平な形で負担がかかる(計画停電では、地域別の不公平という形で、すでに顕在化している)。

 したがって、「料金体系の見直しが必要」ということ自体は、ほぼ自明であり、本来は議論する必要がないことである。検討すべきは、「どのような形の見直しを行なうか」なのだ。

「オール電化にしてしまったから、料金を上げられたら困る」とか、「企業の収益が圧迫される」という意見をお持ちの方々は、是非このことを認識していただきたい。

需要弾力性による結論は、
「世論調査」の結果と整合的

 第3回では、今年夏の供給能力4000万kWに対して、6000万kWの最大需要が予想されることから、「需要を3分の1ほどカットする必要がある」と述べた。この提案を書いた後の3月25日の東京電力の発表によれば、夏の供給力はもう少し増えて、4650万kW程度にできるようだ。他方で、今夏の最大需要は、地震の影響や節電の効果が見込まれることから、昨年に比べて約500万kW減少し、5500万kW程度であるとしている。

 しかし、この需要予測は楽観的ではないかと考えられる。そこでここでは安全をとって、最大需要は6000万kWのままとする。すると、必要な削減率は22.5%となる。以下では、計算の簡単化のため、25%とすることにしよう。

 価格をどの程度引き上げれば、これが実現できるだろうか?