【10月12日 AFP】米北西部ワシントン州の最高裁判所が11日、「人種的に偏りがある」として死刑を廃止する判断を下し、直ちにすべての死刑判決を終身刑に変更した。

 ワシントン州では2010年以降、死刑は執行されていない。同州は米国で死刑を禁止する20番目の州となった。

 裁判官は全員一致で、死刑それ自体は違憲ではないとしながらも、「専断的で人種的に偏った方法で科されているため無効」と判断した。

 この判決は、1996年に女性1人をレイプ・殺害した罪で死刑判決を受けたアレン・ユージン・グレゴリー(Allen Eugene Gregory)死刑囚の異議申し立てをめぐる裁判で出された。

 グレゴリー死刑囚の異議申し立てでは、ワシントン州の各裁判所で死刑の判断が異なることや、全ての条件が同じならばアフリカ系米国人が死刑判決を受ける確率は白人の4.5倍となる可能性を示す調査結果などが示された。

 米NPOの死刑情報センター(Death Penalty Information Center)によると、今回の判決は同州の死刑囚8人に直接影響を及ぼすという。

 ワシントン州最高裁は、これまでに1972年、1979年、1981年の3回、死刑は違憲との判断を下していたが、その都度新法が採択されていた。

 同州で死刑が執行されたのは1976年以降5回で、ジェイ・インズリー(Jay Inslee)知事(民主党)は2014年、死刑執行の一時停止を宣言した。

 米国の死刑執行数は1998年は295件だったが、2010年は114件、2017年は39件と減少傾向にある。(c)AFP