ウィルコムのAndroidスマートフォン「DIGNO DUAL WX04K」(以下DIGNO DUAL)についてQ&A方式で解説していく“ここ”が知りたい。最後となる第5回は、カメラ機能の紹介や画質のチェック、ワンセグの使い勝手、その他Bluetoothなど各種便利機能について紹介しよう。
DIGNO DUALのレビュー第4回ではキャリアメールの使い勝手や通信速度、SkypeやLINEなど音声チャットを利用したコミュニケーションツールの使用感など、データ通信に関連する項目についてチェックしてきた。DIGNO DUALのデータ通信は非常に安定していて使い勝手の印象も良く、昨今のスマートフォンとしても十分合格点と言える完成度と思われる。今回はエンターテインメント系の機能のチェックとして、カメラやワンセグ機能、更にBluetoothを使った音楽聴取や音声通話性能、省エネ設定の効果を試したい。
今やコンパクトデジタルカメラに匹敵する性能を持つようになった携帯電話のカメラ機能。DIGNO DUALでもその機能は売りの1つでもあるようで、初期設定の状態で最も使いやすいメインホーム画面の中央にアイコンが配置されている。
果たしてそのカメラの性能は期待に応えるものに仕上がっているのだろうか。実際に撮影して他機種やコンパクトデジタルカメラの写真と比較してみた。
比較に使用した他社スマートフォンは「iPhone 4S」、またコンパクトデジタルカメラは代表としてソニーのサイバーショット「DSC-TX55」を用意した。iPhone 4Sはプリセットの標準カメラを使用し、DSC-TX55はデフォルト設定のまま撮影している。すべての画像は横800ピクセルにリサイズし、リサイズによるボケを除去するため若干のアンシャープマスクによる修正のみ行った。まずは屋外撮影による十分な光量下でテストした画像を見て欲しい。
DIGNO DUALの写真はホワイトバランスが適正だが若干露出オーバーで、後ろのアパートの白い外壁部分が完全に白飛びしてしまっている。色味が鮮やかな記憶色寄りであることも考慮すると、人物撮影や料理の撮影などに合わせたチューニングといえる。等倍で見れば全体的にゴワついていて色ノイズも盛大に出ている、いわゆる「ケータイ画質」であることが確認できるが、あまり破綻のない画質だろう。ラティチュード(露光の範囲、露光寛容度)の狭さを上手くごまかしている印象だ。
iPhone 4Sは露出が適正だがホワイトバランスが黄色に寄ってしまっている。パッと見の良さではあまり好まれない画作りかもしれない。DSC-TX55はさすがにカメラの面目躍如と言ったところで、ホワイトバランスも適正、色ノイズはほぼ皆無、露出も正しくラティチュードも十分な広さがあり、等倍でチェックしても画質に破綻がない。
またDIGNO DUALのカメラレンズは画角が3機種の中で最も狭く、あまり広い範囲が撮影できない。狭い屋内などでの撮影にはあまり向かないかもしれない。
次に屋内でマクロ撮影をテストした。
DIGNO DUALの写真はやはりホワイトバランスも適正で露出も正しい。わずかに記憶色寄りであることはここでも確認でき、白は白く、黄色は黄色くハッキリと映し出されている。ただし嫌味が残るようなチューニングではなく、あくまでも自然だ。見た瞬間に綺麗だと感じさせる画作りになっている。
iPhone 4Sは露出は適正だがここでもホワイトバランスが黄色に寄っている。DSC-TX55はホワイトバランスも利出も適正で、色味も落ち着いている。若干背景がボケているのは被写界深度が他の機種と比べて浅いからで、撮像素子がスマートフォン用のものよりも大きいことがうかがえる。
DIGNO DUALのマクロ撮影の能力ならば、前述したように料理の撮影などには非常に向いているだろう。スマートフォンのカメラを使用するシーンに非常に合っており、気持ちの良く撮影ができそうだ。
ただし、使い勝手の面で若干気になることもあった。DIGNO DUALを横に持って撮影する場合、カメラのレンズ位置が若干下寄りになるため、一般的なカメラの持ち方をすると指が写真に写り込むことが多々あった。これを防ぐには左手で本体の上下を持たなければいけないためホールド感が弱くなり、手ブレを起こしやすくなる。iPhone 4SやDSC-TX55のように、レンズ位置が横画面時に左上にあるともっと使いやすかったように思われる。
また、デジタルズームやそれに代わるトリミング機能がない点も若干気になった。500万画素での撮影が可能ならば、3〜4倍程度のデジタルズーム機能があっても良かったかもしれない。もしくは撮影後にトリミングする機能もないため、小さな被写体などを撮影したい場合はカメラを近づけるしかない。昨今のケータイのカメラ機能ではデジタルズームが付いているものも多いため、ここは改善の余地があるだろう。
次に撮影設定の確認。横画面時では左側に、上からインカメラ/アウトカメラの切り替え、撮影サイズの設定、露出の設定、撮影ライトの点灯設定、更に詳細な撮影設定の項目が並ぶ。撮影サイズや露出など、とっさに使うことが多い機能が1タップで呼び出せるのは便利だ。
詳細な設定ではセルフタイマーや連写撮影、撮影シーンの選択、GPS機能の選択、ホワイトバランスの設定、撮影補助ラインの表示選択など、カメラとして必要な機能は一通りそろっている。特にカメラ初心者などは、撮影補助ラインなどを表示させておくと見栄えの良い写真が撮りやすいだろう。
最後に動画撮影のテストを行った。動画撮影に切り替えるには横画面時に右上に表示されているカメラ/ビデオ切り替えのアイコンをタップする。動画撮影モードではシャッターボタンが録画開始ボタンに変わる。
動画撮影でも画質の破綻はなく、手軽さという点では非常に良い撮影ができた。ただ気になった点も多く、例えば動画撮影では縦画面撮影ができない事や、手ブレ補正機能がないためにどうしても映像が細かく揺れがちだ。デジタルズームがない点も動画撮影では弱点といえる。
また、録画した映像の音声が時々途切れているという現象も確認できた。これはかなりの頻度で起こっており、マシンスペックが低いために処理が追い付いていないと予想する。動画撮影をする際には、あらかじめバックグラウンドで動作しているほかのアプリケーションを終了させるなどの対策が必要だろう。
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