編集幹事、ばんざいです。

 今回は意外と知られていないタイヤ選び知識に関してお伝えしたいと思います。

 現在、700Cロードレーサーにおけるクリンチャータイヤ幅は23Cがスタンダードになっています。
 レースに出ない方でもロードバイクにお乗りの方は、タイヤメーカーのラインナップが豊富であるこのボリュームゾーンから選んでいる方が大半を占めていると思われます。

 ですが、本当にそのタイヤは貴方の使い方に最適でしょうか?

 乗り心地に関してはよりエアボリュームに富んだ、太めなタイヤの方が有利なのは想像に難くないでしょう。

 しかし「乗り心地は我慢出来るから、少しでも抵抗の少ない細めのタイヤをあえて選んでいるんだ。レースで使われてる物が一番速いに決まっている」という方も多いかと思います。

 ――本当に、細めのレース用のタイヤは抵抗が少ないのでしょうか?
 答えは、少なくとも転がり抵抗に関しては否です。
細いタイヤの方が転がり抵抗が小さいと思われがちですが、実はある程度接地面積が大きい方が単位面積あたりの荷重(=面圧)が減る為、接地面でのタイヤ変形が穏やかで、それに伴う抵抗も少ないのです。
 それが証拠に、以前は自転車用の細いチューブラータイヤが定番だったエコラン(燃費競争)等でも、現在はかなり太めな専用タイヤが用いられています。
http://www.irc-tire.com/bc/tires/other1.html

 チューブラータイヤでは空気圧を高くする事によって接地面変形を抑えて転がり抵抗を軽減していたのですが、クリンチャーやチューブレスの場合は空気圧を上げようにもリム強度からある程度限界があるという事情もあります。

 レースの場合は加減速が激しく、ホイール外周部の慣性質量が軽い方が有利であるという側面があり、重量と乗り心地や転がり抵抗、コーナリンググリップなどのトータルバランスにおいて現状最適であると落ち着いたのが23Cなわけです。

 しかし自分のペースで穏やかに加速すればよいロングライドの場合、多少の重量の軽さより乗り心地や転がり抵抗の少なさ、グリップの安定感等の方がより重要ではありますまいか。

 かといって、28C、32Cというより太いタイヤの方が良いかと言えば、いくら穏やかに加速すれば良いとは言っても信号などによるゴーストップが多い市街地では、重過ぎるタイヤはやはり負担になります。
 また、メーカーのラインナップ上もスポーツ性、走行性能の高い銘柄は25Cまで、という事もありますし、そもそもフレームやブレーキキャリパとのクリアランスの問題から25C程度までしか入らないケースも多々あります。
 現実的な線として、ロードバイクにおけるイージーライドやロングライドにおいて、私がお勧めするのは25Cである、という事です。

 私自身は選択肢の少ないチューブレスタイヤ愛好者で、昨年のブルベや個人的ロングライドにおいてもほとんどをチューブレスで走りました。
 IRC FORMULA PRO TUBELESS RBCCやHutchinson Fusion3 TUBELESS等を使ってきましたが、昨年末から25CのHutchinson INTENSIVE TUBELESSに換装し、その乗り心地と走行性能に非常に満足し、前者よりこちらの方がよりロングライド向きであると確信するものです。
http://www.dinosaur-gr.com/hutchinson/hutchinson_1/index.html

 クリンチャーにせよチューブレスにせよ、今まで20Cや23Cしか使った事がない方は、食わず嫌いは止めて是非一度25Cをお試しになって下さい。
 同一銘柄で太さ違いがラインナップされている場合、比較するとより一層その特性の違いが明らかになって機材オタク的な欲求も満たされると思います(笑)。