ノルウェー乱射進行中の島に警察より報道ヘリが先に着いた理由

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ノルウェー乱射進行中の島に警察より報道ヘリが先に着いた理由

無残な死体が転がる岸をウロウロする犯人、それを追うカメラ――金曜死者76名(月曜警察が修正)を出したノルウェー連続テロを信じられない思いで見守りながら、「なんで警察のヘリが先に来ないの?」と気になった人も多いのでは?

これについて航空機操縦の専門家David Cenciotti氏は最初、「報道ヘリは常時上空で待機しているものだから、今回のような突発的事件でも現場にすぐ特ダネ取材に向かわせることができる」と説明。その上で、

・報道ヘリが警察より早く着くと、テロ攻撃の力関係を変えてしまうんじゃないのか?

・世界中の目が自分に注がれていると意識した途端、犯人が暴力・破壊を加速するとは考えられないか?

・これは犯罪現場を不正に改ざんする行為に他ならないのでは?

と、報道側の姿勢に問題を提起したのですが、後に現地紙Dagens Næringslivが明らかにしたところによると、ノルウェー警察にはすぐ出動できるヘリが1機もなかったそうなのです...(Cenciotti氏も追記しました)。

オスロの新聞Dagbladetも、「ノルウェー警察はこういう事態に対応できる武器装備のヘリが1機もないため車で現地に飛んだ」と伝え、警察の初動が遅れた責任を厳しく追求していますよ。そう言えばSWATもボートか何かで現地入りしてましたもんね...。

ひとり当たりGDP世界第2位の先進国ノルウェーで銃を装備した警察ヘリが1機もないなんて、ちょっと信じられないですけど、それだけ平和だったってことでしょうか...切ないですね。

トップの写真はいち早く現場入りした報道ヘリが捉えたものですけど、ご覧のように水中に逃げまどう若者を次々殺す犯人の姿が克明に捉えられています。こんな何ひとつ遮るもののない野外で、こんなハッキリ見えるのに、見てるしかないなんて...このカメラが銃だったら何人の命が救えていたことか。

UPDATE: 警察のボートも警官と武器を積み過ぎて沈みかけてモーターが止まり、オスロからテロ対策特別部隊(DELTA)が応援にくるのを待ったんですが、DELTAが使える唯一のヘリもオスロの南50-60kmの空港にあったため車で来る方が早いと判断、結局DELTAもレクリエーション用ボートで岸を渡ったそうです(ソース:Reuters

[David Cenciotti -1, David Cenciotti -2]

Sam Biddle(原文/satomi)