土曜日の実験室―詩と批評とあと何か

西島大介の短編集・エッセイ集。
僕はこの人、ちょっと変なを絵を描くイラストレーター程度に思っていたのですが、「世界の終わりの魔法使い」を書かれる経緯を読んで考えが変わりました。
なるほど。この人は絶望している。

どんどん世の中だらしなくっていくなぁと思っています。でも、だらしなくなっていく状況の中で生まれた人たちは、今が何と比べてひどいのか、以前の歴史や世代を参照しようもないから、楽観も悲観もない。そのくらい末期的な状況を、作品の前提としなければ嘘だなと*1 

絶望を嘆くことすら面倒くさくなるくらい、完膚なきまでに絶望しているのです。だからこそ、かくのごとき無気力な、けだるい作品が生まれてくるのだと思う。ちょっとだけ好きになりました。

*1:142p