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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

日本半導体、過去の繁栄から世界最下位へ没落 日本から半導体業界誌が消滅する意味

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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●「Electronic Journal」の廃刊

 国内で紙媒体の半導体業界誌として唯一存続していた「Electronic Journal」(電子ジャーナル)が3月号を最後に廃刊となる。これとともに、出版元の電子ジャーナルは書籍販売やセミナーなど全事業を廃業するという。筆者はこのニュースに大きな衝撃を受けた。2008年10月以降、連載を続けてきた雑誌であり、特別な思い入れがあったからだ。

 08年9月にリーマン・ショックが起きた。その頃、筆者はベンチャーを立ち上げようとしていたのだが、スポンサーが一斉に手を引いてしまったため、あっという間に無職無給に陥った。進退窮まり、電子ジャーナル代表取締役・編集長の木浦成俊氏に「何か仕事をさせてほしい」と懇願し、同誌への寄稿という仕事をもらうことができたのである。筆者にとっては初めての「毎月連載」であり、当時は「唯一の仕事」でもあったので、相当な決意で執筆に取り組んだ。

 その後、09年11月から「JBpress」(日本ビジネスプレス)、10年11月から伊勢新聞の『半導体漫遊記』、10年12月から「WEB RONZA」(朝日新聞社)、12年1月からメールマガジン、14年2月から「日経テクノロジーOnline」(日経BP社)の『大喜利』、そして15年1月から本連載と、次々と執筆依頼を受け、連載を掛け持ちするようになったが、それには「Electronic Journal」の連載を続けてきた実績が大きな糧となっている。

 筆者の執筆する記事の中では、同誌が最も半導体の専門的な内容である。そのような内容について書くためには、最先端技術および業界動向をフォローしていなければならない。企業に属さないフリーのコンサルタント&ライターなので、かなり努力が必要だった。そのため、必要な情報を収集すること、そして同誌記事を書くということは、次第に仕事の中心線になっていったように思う。その同誌の廃刊は、筆者にとってどれほどインパクトが大きいことか、おわかりいただけるだろうか。

●半導体業界誌の消滅

 次に、日本半導体業界にとっての同誌廃刊の意味を考えてみる。日本にはかつて4つの半導体業界誌が存在したが、その動向を日本の半導体出荷高シェアとともに見てみよう(以下図)。

日本半導体、過去の繁栄から世界最下位へ没落 日本から半導体業界誌が消滅する意味の画像1

 日本半導体の世界シェアは1970年から80年にかけて増大し、86年には米国を抜き、88年には世界シェア50%を超えて黄金時代を迎える。しかし、その後日本のシェアは減少に転じ、95年には米国に逆転され、10年にはアジアにも抜かれ、直近の14年には11.2%にまで落ち込む。このままシェア低下が続くと、欧州にも抜かれて最下位になるかもしれない。

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