ロンドン北部のムスリム施設前で車両が歩行者に突入 1人死亡10人負傷
ロンドン北部のフィンスブリー・パークで19日未明、ムスリム(イスラム教徒)福祉センターの前でワゴン車が歩行者に突っ込み、男性1人が死亡し、10人が負傷した。警察は47歳の男を殺人未遂容疑で逮捕した。
ロンドン警視庁によると、負傷者のうち8人は病院に運ばれた、数人は重傷だという。
警視庁によると、ワゴン車は午前零時過ぎに、倒れた男性を歩道上で介抱する人々に突っ込んだ。その後、倒れていた男性の死亡が確認されたが、死因は現時点で不明。
警察によると、攻撃による負傷者全員がイスラム教徒だった。
目撃者の一人、アブドゥル・ラーマンさんはBBCに対し、ワゴン車を運転していた男が「イスラム教徒を殺す」と言っていたと語った。ラーマンさんは車から降りてきた男を殴り、周囲の人と協力して男が逃げないように押さえつけていたという。
警視庁のニール・バス警視監補は、「テロ攻撃」はすでに男性が歩道上で人々に介抱されていたところにワゴン車が突っ込む形で起きたと語った。
「残念なことに男性は死亡した。攻撃のために死亡したと言うには時期尚早だ」
さらに警察は、容疑者に対する「精神鑑定をいずれ行うことになる」と述べた。
バス警視監補によると、負傷者のうち数人が「重傷」。現時点で逮捕された男以外に容疑者はいないという。
ロンドンのサディク・カーン市長は、特にイスラム教のラマダン(断食月)を守る人々など、地域市民に安心してもらえるよう、警戒にあたる警官を増員したと述べた。
英国ムスリム評議会(MCB)は、ワゴン車がモスクを出てくる人たちを「わざと」ひいていったと批判している。被害者の多くは、ラマダンの夜の祈りを終えてモスクを出たところだという。
MCBは事件を「イスラモフォビア(イスラム嫌悪)の暴力的な表明」だとし、モスク周辺での警備強化を訴えた。
インターネットに投稿された事件直後の動画では、大混乱する現場で、居合わせた人たちが被害者に心肺蘇生法を施したり、頭をけがした男性に応急処置をする様子が見える。
当初は、現場がムスリム福祉センターか、近くにあるフィンスブリー・パーク・モスクの前かで情報が錯綜したが、ムスリム福祉センターの前と確認された。
現場を目撃した女性はツイッターで、「倒れた人たちを警察が心臓マッサージで必死に助けようとしていた。ひどい光景。どうか助かりますように」と書いた。
別の男性は「みんなに向かって突入してきた。大勢の中に。ひたすらショックだ、ショック、ショックだ。周りに大勢が倒れていた。ありがたいことに、自分はなんとか跳んでよけられた。大勢がけがをしている」と話した。
テリーザ・メイ英首相は、「ひどい事件だ」と述べ、「負傷した人たちと家族、現場の救急職員のことを思っている」とコメントした。
現場が自分の選挙区内にある野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、「フィンスブリー・パークで今晩起きた事件に、ひどいショックを受けている。モスクや警察、イズリントン行政区に連絡をとった。このひどい出来事に影響を受けているすべての人たちに思いを寄せている」とツイートした。