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なぜ中国の反日活動は日本アニメを狙わないのか?安くて安全なオタク趣味の秘密(百元)

2012年11月10日

■中国ではオタク趣味ほど気楽なものは無い……のかも■

オタ中国人の憂鬱 怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力


最近、ネットでも仕事先でも立て続けに

「日本のアニメや漫画がここしばらくの反日活動の対象となり難かったのはなぜ?」
「中国で日本のアニメや漫画が人気になった理由で大きいのは?」

という質問をいただいております。

考えてみればその辺りに関してはあまり書く機会がなかったので、思い立ったが何とやらということで、あくまで私の印象ではありますが簡単にまとめてみようかと思います。


■格差と結びつかなかったアニメ・漫画

さて、まず「日本のアニメや漫画がここしばらくの反日活動の対象となり難かったのはなぜ?」ということについてですが、「元々中国のアニメ視聴者は反日感情と趣味をダブルスタンダート的に分けて考えている」「娯楽として根強い支持があったから」といった理由が思いつきます。

が、なかでも「日本のアニメや漫画は日本のイメージが強いものではあっても、富のイメージが強いものではなかった」ということが比較的大きな理由としてあるかと思われます。日本車や日本製品などを持っているということは、それを買えるレベルの経済力を持っているということでもあります。

日本での様々な分析の中にも出ているかと思いますが、今回のデモが暴動にまでエスカレートしてしまった原動力には、中国で急激に拡大する格差や、豊かさの情報だけは入るのに自分はそれを手に入れられないこと、持たざる者は持てる者には追いつけないというのを強く実感するようになりつつあることなどからくる、閉塞感というか鬱憤を晴らそうとするのがあったりします。

そのため、先日の一連のゴタゴタのなかには領土問題と愛国と日本叩きを口実に大っぴらに暴れてうっ憤晴らしをしつつ上にいる人間の足も引っ張ろうというのも目的としてあったわけですね。

しかし、オタク関係のアニメや漫画というのは基本的に中国の若い層が中心としなってハマっている娯楽なので、関係している人間に関しては勝ち組負け組の差が決定的に出ているわけではありません。また、オタク趣味に関してもせいぜいコレクションやコスプレが目につくくらいで「富めるものの楽しみ」といったイメージからは程遠い存在です。

そもそも中国におけるオタク趣味の場合、アニメや漫画などの根本となるコンテンツに関しては、ネットに流れちゃっているものを違法ダウンロードしてタダで手に入れる(お金を払って購入する「海賊版」ですら無かったりします)ことができます。

そんな訳で、オタク趣味に関しては日本のイメージがあっても攻撃する優先順位としてはかなり下になっていました。


■オタク趣味が人気である理由も「金のかからない娯楽」だから

もちろん、当時中国でも日本のアニメや漫画に対する空気は微妙なものになっていましたし、あのまま反日感情が悪化して暴走していった場合はいずれアニメや漫画も攻撃の対象になったでしょうし、中国オタクの面々も自分達が比較的「余裕がある層」で「日本の関係する趣味にハマっている」というのは自覚していますから「標的にされるかもしれない」と恐怖を感じたりもしていたらしいのですが、今回そこまで行くことはありませんでしたね。

それで、この中国でのオタク趣味が富と直結しない、ようは「金のかからない娯楽」となっていることが現在の中国における日本のアニメと漫画の強さ、つまり現在の中国で「日本のアニメや漫画が人気になっている理由」のなかでもかなり大きなものとなっています。

このブログのまとめの書籍の方でも少し書いた覚えがあるのですが、中国で日本のアニメや漫画が爆発的に流行った理由には、「若者向けの娯楽の少ない時期の中国に大量に流れこんだ」というのがありますし、「コンテンツそのものの面白さ、多様性」というのもあります。

しかし、その後中国が社会的に豊かになり様々な娯楽に接することのできるようになった現在でも人気を維持し、それどころか新たな若者がハマっていく理由として無視できないのが「オタク趣味のコストパフォーマンスの良さ」ですね。


■「今欲しいモノ」はたいていタダ

上の方にも書きましたが、中国では基本的に違法ダウンロードなどによるネット経由で「タダ」でコンテンツを入手するという形になっています。また、ネットに流れるデータに関しては新しく人気の高いモノであるほど入手し易い傾向がありますから、中国でオタク趣味をやっている場合「今欲しいモノ」はたいていタダということになります。

言ってみれば中国におけるアニメや漫画などのオタク趣味というのは、コンテンツ自体に限って言えば「最新最高のものであればあるほどタダで手に入り易い」という特徴がありますね。

最近中国に入っていき楽しむことの出来るようになった「娯楽」や「趣味」というのはどれもお金がかかることが多く、多くの若者にとってみれば情報を知ることはできても自分が楽しむというのはなかなかに難しいものがあります。

所得が増えたと言っても物価はそれ以上に上がっていますし、遊興費用に関してもスゴイ勢いで跳ね上がっています。若い人間が使えるお金も昔よりは随分と増えてはいますが、飛んでいくお金の増加には追い付けていません。

そんな中で、オタク趣味というのは「基本的にお金がかからず、それなり以上に楽しめる趣味」ということで、非常にとっつき易いものとなっています。

もちろんオタク趣味でも限定版や特別なグッズなどのコレクション、イベント参加などの「お金のかかる部分」はありますが、それ自体は最新のコンテンツに関してのモノではなく、少し前に放映された人気作品か定番作品に関してのモノが多いですし、最新で大人気のアニメや漫画と比べるとそこまで大きな差を感じるものにはなりません。

ですから、中国ではオタク趣味は貧富の差が許容できる範囲の「気楽な空気の趣味」となっている感もありますね。


■「ホンモノ」入手の優越感もお求めやすくなっています

それに加えてオタク趣味というのは「投資効率が良い」というのも見逃せない部分です。

中国では周囲がほとんど非正規のコンテンツという環境なので、「ホンモノ」を手に入れたり体験したりするということの効果が日本に比べて非常に大きなものとなっていますから、一点集中で何かを買ったり体験したりすることができれば、その効果(自分に対してと、周囲に対して)はかなり長続きします。

例えばオリジナルのDVDやBDに書籍、CDやフィギュアなどの正規の関連グッズの購入、声優やアニソンアーティストのイベントに参加したりするというのが現在の中国オタク内での「一目置かれるお金の使い方」となっていますが、ちょっと奮発して(昔に比べれば実際の価格も、体感的な価格も随分と安くなりました)こういったモノを一つ行えば、周囲(現実、ネット共に)の趣味の仲間に対して話のネタなどにしたり見せびらかしたりして自慢できますし、しばらくの間は一目置かれる(ような気分に浸れる)わけですね。

またディープに掘り進む方向や、ハマる作品なども様々な選択があるので、同好の士としての優劣が気になることが比較的少ないのも悪くないそうです。最近の中国ではネットゲームなどでも課金や競争などが激しく、昔ほど「気楽に良い気分になれる」ものではなくなってきているということなので。


■政治的にも安全です

そして更に、日本のアニメや漫画はロックなどと違い政治的には無色なものがほとんどで、政治に関するゴタゴタからは遠い存在であることとから、中国では他の趣味に比べて政治や社会的な理由で規制や取締りを受ける可能性も比較的小さいので、ハマっていても「安全」な趣味とされています。

そんな訳で、アニメや漫画などのコンテンツや、それに伴うオタク趣味が現在の中国でも人気になり、ハマる人間が後を絶たないのは「コンテンツの面白さ」の他にもオタク趣味が中国では「コストパフォーマンス良好かつ安全に楽しめる気楽な趣味」だというのが大きな理由となっているのではないかと思います。

以上、イイカゲンにまとめてみましたがご参考にでもなれば幸いです。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年10月25日日付記事を、許可を得て転載したものです。

 コメント一覧 (12)

    • 1. \(^o^)/
    • 2012年11月10日 21:52
    • 世界中のオタクは「オタク差別」と戦う同士(笑)。
    • 2.
    • 2012年11月10日 23:31
    • 反日なら徹底的にやれよ
    • 3. 名無し
    • 2012年11月11日 00:28
    • 他にも旧日本軍や日本の支援で作られたインフラ施設は対象になってないな
      早く日本が関わった橋や道路や空港も全部爆破しろよ
    • 4. 名無し
    • 2012年11月11日 00:47
    • 面白かった
    • 5. あ
    • 2012年11月11日 01:07
    • だから何?て感じ、だらだら長い、途中読む気無くなった。
    • 6. アッキー
    • 2012年11月11日 01:57
    • 5 日本のアニメは性犯罪者のキチガイを生むので反対!
    • 7. 名無し
    • 2012年11月11日 08:01
    • 男の少女好き、女のホモ好きは世界共通。
    • 8. くそアッキーは半島に帰れw
    • 2012年11月11日 10:44
    • >6
      チョンはそんなの関係なしに遺伝子レベルで性犯罪者のくせに何言ってるんだか・・・w
    • 9.
    • 2012年11月11日 10:47
    • でっていう。
      暴れて日本にダメージ与えたのは間違いないよな?謝れよカスな単細胞共。
    • 10.  
    • 2012年11月12日 02:04
    • なるほど~わかりやすかった
    • 11.  
    • 2013年01月28日 18:08
    • いや、それは違う。4chanというサイトでも話題になったが
      海外の若者が「日本のアニメに日本人はいない。みんな白人
      だよね」と信じている所。アニメのキャラを日本人と思って
      いないから、スルー出来る。韓国なんか「あれは韓国の人が
      作った文化なのに日本人が盗んだ」と英語で宣伝していて、
      一部の人が誤解したまま、日本人を叩いているのが現状。
    • 12. Chinanews
    • 2013年01月29日 01:20
    • >いや、それは違う さん
      コメントありがとうございます。確かにライトに受容しているところだと、日本というのをあまり意識していないというのはありそうですね。まあアニメのキャラが日本人顔かと言われると厳しいですしね。

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