図書館がひょっこり顔をだす意外な法令たち

2013年9月20日金曜日

ネタ リソース 無責任発言

t f B! P L
ちょっと前の話になるけど、パチンコ屋が出店されるのを阻止すべく、
自治体が異例の速さで図書館を建てようとしたとかで問題になってました。

これは日経新聞のウェブ版ですが、
パチンコ店予定地隣に図書館 東京地裁、国分寺市に賠償命令
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1904I_Z10C13A7CC1000/
という記事なんかが具体例です。

記事には"風営法などでは図書館の敷地から50メートル未満の範囲でのパチンコ店経営が禁じられている"などと書かれておりまして、

「図書館にそんな使い方があったか…!」

と、それはもう大きな衝撃を受けました。
結果的にうまくいってないけれど、とりあえず知識の使い方に驚かされたというか。

これはバリアなのか!? 大人のバリアは法律ではるのか! って。

まあ振り返ってみると、
教科書では図書館に直接的に関係する法律とその解説が中心だし
(教える時間が足りないからしかたないね)
他の法律でどう扱われているか(ネタとして)調べたこともなかったので
やっておこうと思います。


というわけで今回の方針。


e-gov(電子政府総合窓口)の法令データ索引システム
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/strsearch.cgi)で
なんとなく「図書館」と検索すると146件引っかかります。
そのうち司書課程のどの教科書にも必ず載ってそうな重要法令(経営的、建築的に重要な法など)、驚きがない法令は省いてリストを作ってみました。
並びは個人的に面白いと思った順です。あしからず。

基本的には法令をクリックすると、コメント部分が開くようにしてみましたが
風営法の部分だけは最初から開きっぱなしにしてあります。

____



  • 風営法


  • 今回いろいろ興味を持った発端の法律。
    風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」が正式名称で、「風適法」とも言ったりする。

    図書館の文字が出てくるところを探すと、1箇所だけみつかります。

    第二十八条第1項 (店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等) で
    店舗型性風俗特殊営業の場合、官公庁施設、学校、図書館、児童福祉施設その他都道府県の条例で定めたものの周囲200メートルは禁止区域とされていることがわかりました。

    (それぞれの施設は別の法律で範囲が定義されている。たとえば図書館であれば図書館法の第二条1項が定義。)

    そして同第3項を読むと、先に届出を出している店舗には適用されない、
    つまり図書館を後から建ててどかせることはできない様子。

    ところがここで疑問に思うのは、
    パチンコ屋は「店舗型性風俗特殊営業」に含まれるのかということです。
    わきゃないよね、風俗営業だが性風俗じゃないもの。

    そこでD1-Law.comというデータベースを使って詳細を調べてみたところ、
    平成25年7月19日/東京地方裁判所/民事第6部/判決/平成20年(ワ)25098号」という判例を見つけました。これが問題のあれです。

    これを読むと、
    東京都の風営法施行条例施行規則では、
    図書館の敷地からの距離が50メートル未満の区域内は公安委員会が風俗営業許可を出さない
    という事が根拠になっているようです。

    そんなわけで、東京都の場合は図書館の50メートル未満の区域は風営バリアがあると。

    なんとなく調べた感じだと他の地域はバリアの範囲が異なりますし、
    これは掘り下げ甲斐がありそうなテーマです。
    今年あたり卒論で書いている学生がいるに違いない。


    参考:リンク先は東京都の総務部文書課によるもの
    風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例
    http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/ag10122141.html
    風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例の施行に関する規則
    http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012215001.html




  • へき地教育振興法施行規則



  • 身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準



  • 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律



  • 鉱業法



  • 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律施行令



  • 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律施行令



  • 文化芸術振興基本法



  • 高等専門学校設置基準・短期大学設置基準・大学通信教育設置基準



  • 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則



  • 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律



  • こうして並べてみると、図書館と社会の関係が少し違った側面から感じられます。

    法律に関しては『図書館六法』や『図書館法規基準総覧』なんて資料もありますから
    そのあたりの資料を見ればもう少し体系的に学べるかもしれません。
    なにせ今回は「図書館」という語を含むもの、その中でも一部に触れただけですからね。

    いつ役に立たせればいいのかわからない知識だけど、
    これが教養ってやつですよ!(使いどころがまったくわからないので言い訳をしてみた)

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    ある日突然図書館司書資格関係の科目を教えることになり、司書と司書教諭の必要科目の大半を担当していました。次に図書館関連の道具を販売したり建築・改築をする仕事に転職し、図書館の機械化部門で図書館システムやらIC関係の仕事をしました。現在は大学図書館の司書(大学病院図書室、電子資料契約、RDM等の担当)として勤務。 ブログは教員のころに始めたものなので、当時からするとコンセプトは大きくずれているけど、まあよしでしょう。 博士(図書館情報学)。

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