少し前からよく耳にするようになった「LCC」。LCCとはローコストキャリア(Low-Cost Carrier)の略で、格安航空会社のことをいいます。例えば、Peach Aviation(ピーチ・アビエーション)やAirAsia Japan(エア・アジアジャパン)、Jetstar Japan(ジェットスタージャパン)などがあります。11月1日に日経トレンディから発表されたばかりの「2012年ヒット商品ランキング」でも「国内LCC」が3位にランクインしました。

私は今、東京に住んでいますが、実家は福岡です。年に2~3回、お盆やお正月などの帰省のほか、地元の友達の結婚式などで帰ることも含めれば、その交通費は馬鹿になりません。そこで先日、今年の7月に就航を開始したばかりのJetstarを使って帰省を果たしました。

LCCって安いけど、サービスレベルはどこまで落ちるの?、ぶっちゃけ安全面は大丈夫なの?機内はどれだけ狭いの?、などなど、乗ってみるまでいろいろな不安もあったのですが、実際はけっこう楽しく快適な空の旅をすることができました。

今回はそんなJetstarの様子を具体的に報告します。1.予約時、英語にくじけない!

まずはJetstarのホームページにアクセスし、予約をします。往復・片道どちらでも予約が可能です。

現在国内便のJetstarが利用できる空港は、東京(成田)/大阪(関西)/札幌(千歳)/福岡/沖縄(那覇)の5つです。時季によって異なりますが、例えば東京(成田)~福岡間や東京(成田)~沖縄(那覇)間は1日3便ほど飛んでいます。

料金も時間帯によって異なりますが、朝早い便であれば東京(成田)~福岡間は5090円、土日の最も高い時間帯でも1万2990円くらいです。

この料金には「エコノミークラスの座席」と「10kgの機内持込手荷物」が含まれます。この他、例えば予約の変更や座席指定などはすべて有料のオプションという形になり、予約時に選択が必要です。機内は狭く、手荷物はほとんど持ち込めないというイメージがあったので、私はキャスター付きの荷物を預けるオプションのみ追加しました(2012年10月時点のオプション金額は1000円。現在は料金も変更になっているようです)。

実際に機内に持ち込める荷物の大きさはホームページで確認していただきたいのですが、キャスター付きの荷物もみんな普通に機内に持ち込んでいましたし、他の飛行機とそこまで変わらない印象でした。

チケットを購入し、予約を完了させるにはJetstarへの会員登録が必要です。この会員登録画面だけは全部英語で書かれていて苦労しました。何度パスワードを入力しても受け付けてもらえないのです。何を怒られているのかとネット上の翻訳サイトで和訳してみたところ「3種類の文字と特殊記号を入れて8文字で設定しろ」とのこと。そんなことで止まっていたのか...。

「Hi!」と陽気な書き出しで始まる全文英語のメールが届けば、登録は無事完了です。

2.成田空港には搭乗の1時間前には到着すべし

いよいよ当日になり、成田空港へ。羽田空港に比べると都内からの交通アクセスの悪さは否めません。私は電車を乗り継いで行きましたが、都内各所から京成バスやリムジンバスも出ているようなので、チェックしてみるといいと思います。

成田に着いてからも、予想通り空港の奥まで歩く歩く。端にあるJestarのカウンターで搭乗手続きをして手荷物を預け、搭乗ゲートからさらにバスに乗って航空機の下まで移動。

成田には搭乗の1時間前には着くように行く方がいいと思います。

機内はどれだけ狭いのかと思っていましたが、実際に座ってみると、前の座席との距離は30cmくらいはありました。座席にはリクライニングも付いています(同じ列に座っていた少し体格の大きいおじさまの膝は、前の座席に付いていましたが)。

3人席が通路を挟んでふたつ。縦に30列が並び、全部で180人乗りの航空機でした。座席予約はしませんでしたが、用意されていた席は通路側で、真ん中は空席でした。満席でない限り、座席予約をしなくても端に設定してくれ、真ん中は埋まるまでは空けてくれるようです。

機内サービスのドリンクはありません。食べ物・飲み物は全部有料です。機内の番組用のヘッドホンもありません。

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ただ、機内誌はあって、表紙は人気急上昇中の松坂桃李さんでした。「ジェットスターカフェ」というメニューが座席のポケットに入っていて、見てみると、(鮭)おにぎりが一個200円、各種スープが300円など、メニューの種類は豊富で、お弁当やサンドイッチ、お酒もありました。

3.客室乗務員との距離が近く、温かい雰囲気

おもしろかったのが、搭乗前に必ず案内がある、非常時の対応説明。通常の航空便であれば、画面に映像が映し出されますが、Jetstarは客室乗務員の女性が3人ほど通路に立ち、実際に酸素マスクや救命胴衣の着用を見せてくれたのです。

いつもは目を配らないことも多いこれらの案内も、目の前で見せられる物珍しさに、乗客もみんな見入っていました。また、客室乗務員の方が胸に付けている名札がみんな下の名前なのも親近感がありました。かと言って、小心者の私は「Keiko(けいこ)さん」などと呼び止めることはできませんでしたが。

まとめ

機体が小さい分、大きな航空機よりは揺れるようには感じましたが、そんなに気になるものではありません。成田への移動の煩わしさはあるものの、何と言っても、いつもの半額の料金で帰省できたのが本当にありがかったです。

金額の面からも、客室乗務員のホスピタリティからも、Jetstarが目指す「日本の旅の在り方を変える」という目標や、「より気軽でより選択しの多い、より楽しい旅を提供する」という理念にも頷ける空の旅となりました。

これからもっと気軽に帰省ができそうなのは、間違いありません。

(尾越まり恵)