【CES】カシオ、ダブルヒンジのスイバル型デジカメを発表。21mm相当レンズ搭載

〜写真をアーティスティックに変換できるオンラインサービスも開始

 カシオは5日、2011 International CESのプレスカンファレンスで2軸が可動する新コンセプトのコンパクトデジタルカメラ「TRYX」(トリックス)を発表した。国内での発売は未定。米国では4月に249.99ドルで発売する。本体色はホワイトとブラックを用意する。

TRYX

 TRYXは、液晶モニター部分に対してレンズ部分が回転するいわゆる“スイバル型”の一種。ただし、一般的なスイバルタイプに加えてカメラ上下側面を覆う回転式のフレームを設けたのが大きな特徴。液晶モニター部とレンズ部分の回転軸に対して、フレーム部分の軸は90度をなしている。フレームの位置により様々な撮影スタイルが可能になっている。2つの回転機構を備えながら、厚みは約1.5cmほどと薄型になっている。高さと幅はそれぞれ約5.8cm、約12.3cm。ストロボは非搭載。

 スイバル機としての撮影以外には、フレームを後部に回しハンドグリップとしての撮影が可能。カムコーダーのようなホールディングができるとしている。またフレームを前に回転させれば、自分撮り時のグリップになる。さらに、フレームと液晶モニター部を鋭角にずらすとカメラを自立させることができる。その場合は開く角度によって俯瞰の度合いを設定できる。そのほかにも、フレームを180度回転させて保持し腕を伸ばせば、一般的なカメラ以上のハイアングルでの撮影も可能。180度開いたフレームを壁のフックなどにつり下げての使用も想定している。本体には被写体の動き検知センサーを内蔵しており、自分撮りなどの際には「カメラに向かって手を振る」といった動作をすることでシャッターを切ることが可能。

ホワイトとブラックを用意するレンズは単焦点
フレームを90度回転させるとハンドグリップになるこのように自立させることも可能
フレームを持つことでより高いアングルから撮影できるフックなどからぶら下げての撮影も可能

 撮像素子は1/2.3型有効1,210万画素の裏面照射型CMOSセンサー。最高感度はISO3200。レンズは35mm判換算の焦点距離21mm、F2.8の超広角単焦点タイプを採用した。液晶モニターはタッチパネル式の3型(約46万ドット)。本体にシャッターボタンも備えるが、自分撮りなどの際にはタッチパネルでも操作できる。

 1,920×1,080ピクセル、30fpsのH.264動画も撮影可能。複数枚を撮影してダイナミックレンジを拡張する「HDR」および、アーティスティックな仕上がりにする「HDR Art」機能も利用可能。

 バッテリーは内蔵式の充電池。記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。Type DのHDMI端子も備える。

 TRYXのプレゼンテーションを行なったカシオQV事業部長の中山仁氏は、「フレキシブルなスタイルでの撮影が可能であり、コンベンショナルなデジタルカメラに比べて飛躍したカメラ。ニューデザインで新たな価値を提供する」と紹介した。

TRYXのデザインスケッチカシオQV事業部長の中山仁氏
プレスカンファレンスの出席者にはTRYXをかたどったUSBメモリーを配布した

どんなカメラの画像でもアーティスティックに変換

 併せてカンファレンスでカシオは、新Webサービス「IMAGING SQUARE」を発表した。国内では11日にオープンする。

IMAGING SQUAREは、画像変換、ストレージ、画像共有の機能を備える

 IMAGING SQUAREは、ユーザーがデジタルカメラで撮影した画像を送信するとアーティスティックなHDR画像「HDR-ART CRAFT」や絵画風の画像「Virtual Painter」に変換できるサービス。カシオのデジタルカメラ以外で撮影した写真でも利用可能。1GBのストレージ機能も有する。利用は無料。今後有料にするかは未定。

 利用者が送信した画像は、カシオが用意したサーバーで画像の解析と画像処理を行なう。HDR画像は、すでにカシオ製デジタルカメラで採用している「HDRアート」に似た画像が得られる。ただし、カシオ製デジタルカメラのHDRアート機能は複数枚の画像から生成するのに対して、IMAGING SQUAREでは1枚の画像からHDR画像を作る点が異なっている。1枚からHDRを作るため暗部を持ち上げた上でノイズリダクションを行なうなどの処理をするという。

HDR-ART CRAFTの変換例同Vitrual Painter
様々なパターンの画像処理が可能フォービズム風に変換することもできる

 処理時間は640×480ピクセルの画像でHDRが約3秒、絵画風の加工は10秒ほど掛かるという。処理時間については今後短縮できるよう検討していくという。加工できる画像ファイルの容量には制限をかけるとしており、現在は1ファイル10MBを考えているとしている。なお、画像処理のパターンはほかにも20パターンを用意する。

 オンラインプリントも有料で利用できる。アーティスティックな仕上がりを生かすため、キャンバス地やタイルなどへのプリントにも対応する。

デジタルカメラだけではなく、携帯電話で撮影した写真も変換可能オンラインプリントサービスでの出力例。ライオンの画像はキャンバス地にプリントしている

 IMAGING SQUAREのプレゼンテーションを行なったカシオ執行役員DI事業部 事業部長兼ネットワーク推進部 部長の樫尾和宏氏は、「今まで一般の人がこうした画像を作ることは大変だったが、シングルショットの写真で良い結果を作ることができる。簡単にアートワークが楽しめる」とした。

カシオ執行役員DI事業部 事業部長兼ネットワーク推進部 部長の樫尾和宏氏プレスカンファレンス会場の様子

【2011年1月7日】「本体にはシャッターボタンなどは備えておらず、タッチパネルで操作する」の箇所を修正しました。実際にはシャッターボタンがあり、さらにタッチパネルでもシャッター操作が行なえます。



(本誌:武石修)

2011/1/6 13:19