<ソフトバンク7-0阪神>◇21日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクが、40年ぶりの3試合連続完封で20勝一番乗りを決めた。杉内俊哉投手(30)が、阪神打線を寄せつけず自身初の2試合連続完封勝利を挙げた。貯金を10としてパ・リーグ、交流戦とも単独首位。チームの34イニング連続無失点は2リーグ制では球団タイ。まさに記録ずくめの白星となった。

 最後にエースが底力を見せた。9回2死一塁。杉内は、4番新井貴に対しチェンジアップで2ストライクと追い込む。遊び球などいらない。3球目も121キロのチェンジアップで空振りの三振を奪うと、左こぶしを握った。

 「2試合連続でチームが完封勝利。自分も続こうと思って投げた。いつも通り、今日も最初から飛ばしていった」。

 ホールトン、山田が2試合続けてシャットアウト勝利。プライドがくすぐられ自然と力が入った。阪神は打線を大幅に組み替え、1~7番まで右打者をそろえてきた。だが、球界屈指の左腕は動じない。リードした山崎は「杉内さんは右打者の方が打ちとりやすい」と明かした。3回2死満塁、3番関本を142キロ外角低めの直球で二ゴロに打ちとり、この日唯一のピンチを切りぬけた。秋山監督は「3回のピンチを切り抜けたのが大きかった」と振り返った。

 「早い回では、阪神打線が球数を投げさせようとしてきたのが分かった。でも、だんだん早打ちになってきた。それで、リズムに乗れた部分もある。かっちゃま(山崎)のリードのおかげです」。

 記録ずくめの勝利だ。チームの3試合連続完封勝ちは南海時代の71年9月以来、約40年ぶりの快挙。34イニング連続無失点も2リーグ分立後の球団タイ記録だ。杉内自身もプロ初の4試合連続完投を、これまた初体験の2戦連続完封勝利で飾り、歴史に名を残した。

 「前回の勝ちでルーティンができた。それも良かった。自分はA型ですから」。

 験担ぎした。球場入りする時間、練習メニュー。中6日の時間の使い方を前回とまったく変えなかったという。勝ちまくっていた時のビデオを見てイメージトレーニングもした。

 今日先発が予想される摂津には4戦連続完封の球団新記録がかかる。「次、投げる投手はプレッシャーになるねえ」と杉内はニヤリ。チームは両リーグ20勝一番乗り。交流戦の単独首位にも浮上した無敵のタカが、さわやかな初夏の空を上昇していく。【奈島宏樹】