ある論文に、人間は順番に並んでいる選択肢を与えられると、(最初の選択肢が一番良いとは限らない時でも)一番最初のものを選ぶ傾向にあるという研究結果がありました。

 「最初が一番(First is Best)」と題されたその論文では、順番に選択肢を並べた3つの実験を行っています。その結果、被験者の考える時間が少ない時や、早急な決断が迫られた時は、(不当だったり理不尽だったりするかもしれない場合でも)最初の選択肢を選ぶ傾向にありました。このことを心理学などでは「初頭効果」と呼んでいますが、今回の論文の実験では、この「意識した選択」と「無意識の選択」の違いが表れていました。

研究者は、「意識して」「よく考えて」「吟味して」選ぶ時(例えば「LoriよりもLisaの方が好き」)と、認知心理学的に見て「自動的に」「無意識的に」「反射的に」選ぶ時(例えば「良い」「もっと良い」「すごく良い」)の2通りの選択方法について質問しました。すると被験者は、無意識の選択のほうが好きだと答えたにも関わらず、常に最初に紹介された人やチームが好きだと答えました

研究者は、このような現象が起こる理由をほかにもいくつか挙げていました。そのうちの一つは、人間は最初に見た人を好きになるという進化的適応と関係があるというものです。その他の説としては、最初に選ばれたものが常に一番良いという社会の序列からきているというものです。

どの大学に行くか、どのテレビを買うかなど、何か選択をする時は、良い悪いに関わらず、「脳は本質的に最初の選択肢が好きなのだ」ということを覚えておきましょう


First is Best | PLoS One via ScienceDaily

Thorin Klosowski(原文/訳:的野裕子)