2011年6月27日月曜日

間違った節電、正しいオフピーク・・・自治体施策の混乱を見て

世は節電。
どうもこのところ猫も杓子も節電流行りとなっているが、そんな中でこんなお知らせが流れてきた。
7月から9月の区施設の利用について(目黒区)
国が掲げる最大消費電力の削減目標は、企業・家庭ともに一律15パーセントとなっています。区では、夏期の節電対策として、電力需要のピーク時間帯となる午後の時間を中心に、エアコンや照明による電力使用量を削減するため、乳幼児や高齢者を対象とした施設を除く区施設の午後の利用を中止します。
おそらく目黒区には真面目なお役人がいるのだろう。
これをやれば、役所としての電力使用量はかなり減らせる。
しかし自治体としての立場からみると大間違いでもある。
乳幼児高齢者への配慮がみられることから内部でも何らかの検討をしたのだろう。
とはいえ公共施設をある時間閉じるというのは感心しない。

岐阜でも、数日前にこういうニュースが流れた。
サマータイム:8月に池田町が導入 本庁舎などで30分繰り上げ(毎日新聞)
池田町は8月の1カ月間、サマータイムを導入する。本庁舎、教育委員会事務局、保健センター、社会福祉協議会の4カ所で業務を30分繰り上げ、午前8時始業、午後5時終業とする。
産総研も示したように、サマータイムそれ自体には今回の電力危機への効果はない。
その点ではかなり残念な政策でもある。
精神論だとしても、精神論でエネルギー問題を乗り越えようとするのはなかなか難しい。
電力会社も地方自治体も、節電とは言うがなかなかそのコアな課題は説明していない。
問題は電力供給の逼迫する平日午後の早い時間であり、そこで電力使用を抑えれば問題は解決するわけで、業界的にはこれを「オフピーク」と呼ぶ。
これは電車の混雑とか高速道路などでも使われる用語ですな。

何より、世間が節電とこのオフピークを区別せずむやみに電気を使わぬよう告知していることが各所に悪影響を及ぼしている。
真夏の暑い時期、お昼から夕方までの数時間の電力消費を抑えればいいのであって、朝晩や夜中に必要なものまで絞って我慢をすることはない。
むしろ心配しているのはこういう間違った節電が広がることでの乳幼児や高齢者の熱射病などが増えることである。
これで死者が出るようなことになると、これこそ明らかな人災でもある。

こう唸っていたところ、別の自治体では異なるアプローチを発見する。

あらかわ街なか避暑地を実施します(荒川区)
国は、計画停電を特別区では実施しないこととしましたが、電力の供給は依然として見通しが立たっていません。また、夏の暑さで、熱中症にかかってしまう危険もあります。このため、区は、節電を徹底しつつ、特に多くの区民の方々が今夏を健康に過ごせるような対策として「あらかわ街なか避暑地」を実施します。
「あらかわ街なか避暑地」は、ご家庭でのエアコンを止めて公共施設をご利用いただくことで、区全体として節電効果を向上させるとともに、併せて熱中症対策を図るものです。
・・・荒川区、よく頑張ってます(涙。
そう、むやみな節電というのは地域には百害あって一利なし。
地域的に弱者がどうこの節電を乗り切るかを考えてもらいたかった。
その点では公共施設を開放してゆく荒川区の方向は明らかに正しい。

そしてさらに一歩踏み込んだのがココ。
節電避暑地:エアコン切って街に出よう 市川市が認定、官民施設開放(毎日新聞)
市川市は今夏、日中の家庭の節電を促すため、公共施設や民間商業施設を「節電避暑地」に認定し、「涼」を求める市民に開放するキャンペーンを実施する。福島第1原発事故に伴う電力不足の備えと、商店街の活性化を狙った県内初の試み。
自治体としてはほぼ満点の施策といってよい内容。
市川市にはこれは是非とも視察に行かねばならぬと思わせる出来。

実は私もTwitterで、同様のツイートをしており。
@assamtea
いまお家でエアコンつけてる方は、エアコン切って近所のカフェ行ってお茶するだけでも電力消費の削減と紅茶による救済の両方を得られますよ。紅茶党。
お国の一大事であることは確かなわけで、でもやせ我慢は禁物でもあります。
今年の電力危機は、間違った節電と正しいオフピークがあるということは覚えておいて欲しいもの。
そして、必要なところにはお昼であっても電気は使うべきであること。
さらに、その状況は理解しておきつつ自分の負荷を減らしつつこの暑さを乗り切って生活を愉しむことは視野に入れておくのがいいとも思う次第。

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