録画機能活用でストレスなしにテレビを節電
効果的な節電、やらなくてもいい節電(3)
まずは以下の事項について考えてみてください。正しいのはどれでしょうか?
Q1 テレビの節電に一番有効なのは、コンセントを抜くことである
Q2 テレビの画面の明るさや音量は、消費電力とはほとんど関係がない
Q3 テレビの前から離れると、自動的に消費電力が半分になる機能を備えた商品がある
(※答えは記事の最後に)
リビングでの節電で注目したいのが、テレビやレコーダーなどの録画機です。これらAV機器は使用していないときでも「待機電力」がかかっています。待機電力とは、テレビならリモコンのボタンを入れるとすぐに番組を表示したり、レコーダーがスイッチを押したらすぐ操作できるようにしたりするなど、ストレス無く使えるように電力を使ってスタンバイしている状態で消費している電力です。
日本エネルギー経済研究所が2011年4月に発表した「夏期における家庭の節電対策と消費電力抑制効果について」によると、テレビ・ビデオ機器の節電方法として「コンセントを抜いて待機電力を削減すると、東京電力管内で38万kWの節電」ができる、という試算が載っています。テレビや新聞などの節電記事でも同様の表記を目にします。
しかし、本当にAV機器はコンセントから抜いてしまわないと節電ができないのでしょうか? 実はAV機器の待機電力は、ここ3~5年で大幅に削減されています。
例えばソニーの液晶テレビ「BRAVIA(ブラビア)KDL-46HX820」は46インチの大画面モデルですが、待機電力は0.15Wしかありません。「BRAVIAの本体にある主電源スイッチを切れば、コンセントを抜かなくても待機電力を限りなくゼロにできます。最近の製品はわかりやすい場所に主電源スイッチを配置するなどデザインでも工夫しています」(ソニー広報)とのこと。
また、レコーダーではパナソニック「DIGA(デイーガ)」シリーズは細かな節電設定が可能で、時刻表示を消せば待機電力を0.05W(時刻表示点灯時約0.3W)まで下げることができるのです(DIGA DMR-BZT900/同BZT800/同BZT700)。
日本エネルギー経済研究所に「コンセントを抜いて待機電力を削減すると38万kWの節電になる」という試算の根拠について問い合わせたところ、テレビ・レコーダーともに待機電力1Wで試算している」とのことでした。コンセントを抜くことでの節電効果はもちろんありますが、次のようなケースもあります。ハードディスク(HDD)を搭載しているレコーダーに関して言えば、コンセントを抜けば留守録ができませんし、うっかり録画中にコンセントを抜けば、HDDが破損して、録画している番組全てを失うことになります。AV機器の待機電力の節電はむやみにコンセントを抜くのではなく、テレビなら主電源スイッチを活用したり、レコーダーなら設定を見直して節電する方が現実的ではないかと思います。
テレビについては、効果的な節電方法があります。テレビは薄型テレビ、ブラウン管テレビを問わず、画面を明るくし、音声を大きくするほどに消費電力が増します。そこで設定を「省エネモード」に変更すると節電ができるのです。例えば東芝「REGZA(レグザ)」シリーズには省エネ設定が2種類用意されています。42型の「REGZA 42Z2」の場合、標準時に比べて設定により20%ダウン(減1)、40%ダウン(減2)と2段階の節電ができます。
最近では録画機能を備えたレコーダーテレビが人気です。レコーダーテレビの人気機種東芝REGZAシリーズの商品企画を担当している東芝デジタルプロダクツ&サービス第一事業部の本村裕史さんは「テレビ視聴をガマンするのではなく、録画機能を上手に活用して電力ピーク時の番組は録画し、オフピーク時にまとめて視聴すると、あまりストレス無く節電ができます」とのこと。
ソニーのBRAVIAシリーズの多くの製品には、テレビの前に人がいるかチェックする「人感センサー」が搭載されています。テレビの視聴中にテレビの前から離れると、自動的に画面を消す「消画モード」に切り替わり、消費電力を50%削減する機能を備えています。消画状態ならテレビ画面は消えても音声は聞こえているので、洗濯や家事をしていてもテレビ音だけはチェックしていたい、そんな人にオススメです。
この夏テレビの購入を考えているなら、LEDバックライト搭載の製品を選ぶのがオススメです。従来の液晶テレビはバックライトに蛍光灯と同じ「蛍光管」を使っていましたが、2010年冬モデル以降、蛍光管タイプよりも消費電力を約半分にできるLEDバックライト搭載の薄型テレビが急増しています。これから薄型テレビを選ぶなら、機能の他にLEDバックライト搭載についてもチェックして選ぶと節電できます。
テレビの節電は、まず設定を見直して節電モードを利用し、さらに録画機を使って視聴時間を見直すと、上手に節電できそうです。できることからコツコツ実行してみましょう。
【冒頭の問題の答え】
⇒× AV機器の待機電力は、ここ3~5年で大幅に削減されており、本体にある主電源スイッチを切れば、コンセントを抜かなくても待機電力を限りなくゼロにできる製品もある。
Q2 テレビの画面の明るさや音量は、消費電力とはほとんど関係がない
⇒× テレビは薄型テレビ、ブラウン管テレビを問わず、画面を明るくし、音声を大きくするほどに消費電力が増します。
Q3 テレビの前から離れると、自動的に消費電力が半分になる機能を備えた商品がある
⇒○ ソニーのBRAVIAシリーズには「人感センサー」が搭載されており、テレビの前から人が離れると自動的に画面を消す「消画モード」に切り替わり、消費電力を50%削減する機能を備えています。
(ライター 鈴木桂水)
[WOMAN Online 2011年6月20日掲載]
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