移民ら大挙してバルカン半島北上、独では極右が排斥、マケドニアは国境封鎖 欧州各国で混乱相次ぐ

 【ベルリン=宮下日出男】バルカン半島西部に中東などからの難民や移民が押し寄せている。豊かな欧州北部を目指して北上しており、バルカン西部は通過地域に当たる。関係国は混乱回避の対応に追われる一方、移民らの主要な目的地であるドイツでは、極右らによる排斥の動きも問題化している。

 「(自分の国より)欧州を歩いて回る方がましだ。どこでも生き延びられる」。内戦中のシリア出身で、セルビアからハンガリーに入国した男性(25)は25日、ロイター通信にそう語った。

 トルコからギリシャの離島に渡る移民らは、7月だけで約5万人に上るなど激増。リビアなどから船でイタリアなどに渡る動きをすでにしのぎ、ギリシャで移民らの本土移送が本格化するのに伴い、バルカン半島を北上する移民らの動きが活発化した。

 マケドニアでは20日、南隣ギリシャからの越境増加を受け、非常事態を宣言して国境封鎖を図った。だが、警官隊と移民らが衝突するなどして越境は止められず、移民らをセルビア付近に向かわせる方針に転じた。

 その結果、セルビアには先週末だけで約1万人が入国し、移民らはさらに北へと移動。国境沿いにフェンスを建設中のハンガリーは24~25日、それぞれ2千人超の移民らを拘束したものの、多くが監視などをかいくぐり入国したもようだ。

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