デジタル録画機の著作権料訴訟、支払い拒んだ東芝勝訴
東京地裁判決「法的強制力はない」
デジタル放送専用のDVDレコーダーなどの録画機器を巡り、著作権団体の私的録画補償金管理協会が東芝を相手取り、録画機の売り上げに応じて著作権料(私的録画補償金)約1億4千万円を支払うよう求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。大鷹一郎裁判長は「メーカーが著作権料を集めて協会に支払うことは、法的強制力を伴わない抽象的義務にとどまる」として請求を棄却した。今回の判決は著作権政策全般に影響を及ぼしそうだ。
私的録画補償金管理協会は控訴する方針だ。補償金制度はメーカー側が録画機の販売価格に上乗せして消費者から補償金を徴収することを前提としている。メーカー側は協力を強制されないとした判決により、制度の形骸化が加速しそうだ。
大鷹裁判長は判決理由で「デジタルDVDレコーダーは、利用者が著作権料を負担すべき機器に該当する」と述べ、著作権法施行令が定める補償金徴収の対象機器に当たると認定。そのうえで「著作権法はあえて『協力』という抽象的な文言にとどめており、法的強制力を伴わない義務と解すべきだ」と結論付けた。
同法は私的利用の範囲内で著作物の複製を認める一方、高品質なコピーが可能なデジタル録画機の利用には私的録画補償金の支払いを義務付けている。販売価格の1%(1台当たり平均約400円)をメーカーが消費者から集め、俳優や作曲家、映画会社の各団体などで構成する同協会が著作権者に分配している。
東芝は昨年、アナログチューナーのないデジタルDVDレコーダーについて、録画回数を10回に制限し、著作権を一定の範囲で保護する「ダビング10」の機能を備えていることなどを理由に著作権料を録画機の価格に転嫁して徴収せず、協会への支払いを拒否した。協会は「補償金制度が形骸化する」として、昨年2~9月に販売された製品に対する補償金の支払いを求め提訴していた。
東芝は27日、「損害賠償請求が棄却された点は妥当。判決内容を精査して対応を検討する」との声明を出した。
関連企業・業界