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東電「賠償能力に配慮を」 1次指針策定直前、紛争審に

2011年5月5日3時12分

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 福島第一原発の事故に伴う損害賠償の目安をつくる原子力損害賠償紛争審査会に対し、東京電力が要望書を提出していたことが4日、分かった。風評被害を広く認定する方向で審査会の議論が進むなか、東電は賠償能力を考えて目安となる判定指針を策定するように注文。審査会や政府の関係者は、東電のこの対応を疑問視している。

 審査会は、4月22日の第2回会合で当面の被害救済をめざした1次指針案を示し、28日に決定した。要望はこの間の25日に、清水正孝社長の名前で出された。

 審査会は、東電の原発事故を受けて文部科学省に設置された。指針を策定する段階での要望は組織の中立性を侵しかねず、朝日新聞の取材に能見善久会長(学習院大教授)は、不適切な対応と話した。一方、東電は「補償の当事者として配慮してほしい事項を要望した」とコメントしている。

 要望書によると、東電が求めたのは、(1)極めて多数の被害の申し出を受ける方策の検討(2)原発事故と因果関係があると的確に判断する基準の設定(3)どんな証拠なら損害を認定できるかの基準の提示の3点。そのうえで、東電が賠償できる限度を念頭に置き、1次指針を策定するよう注文した。

 賠償に対する姿勢も、要望の中で明らかにした。

 数兆円の賠償が見込まれるなか、東電は、全額を負担すると最大限のリストラをしても賠償費用を払うことは困難と主張。被害救済には「国による援助が必要不可欠」とし、援助がない賠償の枠組みは「原子力損害賠償法(原賠法)の趣旨に反する」と指摘した。

 さらに、援助の具体的な方策が確定しない中では、1次指針に基づいて全額を払うことは「早晩困難になる」との見方を示した。

 また、「異常に巨大な天災地変」で原発事故が起きた場合、事業者は免責されるという原賠法の例外規定に、今回の事故が該当するという解釈も「十分可能」とした。だが、「事故の当事者であることを真摯(しんし)に受け止める」とし、国の援助を受けて賠償する準備を進める方針を明確にした。

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