通称「まおゆう」っていうウェブ小説だよー。書いた人は橙乃ままれというペンネームに成ったのか。そうかそうか。
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2ch発祥のファンタジー巨編が「『まおゆう魔王勇者』」のタイトルで書籍化!
まおゆう魔王勇者 1「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
- 作者: 橙乃ままれ,toi8
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/12/29
- メディア: 単行本
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あらすじ。
女の魔王が「この我のものとなれ、勇者よ」って言って、勇者が「断る!」って言う、ドラゴンクエストのお約束パロディから、魔王さんが勇者を逆に説得して、「魔王と勇者が戦うのとか飽きたっぽい」と、リアルなドラえもん系の、お約束破壊パロディをやって、狼と香辛料パロディ的な感じでドラクエに経済的な要素を絡めたのが評価されたらしい。あと、なんか女魔王と男勇者が恋愛関係に成って、他の女性キャラもラノベハーレムっぽくモテるのも人気のポイント。
私の評価は違う。
私は、大富野教信者なので、バイストン・ウェルのような地下の魔界と地上世界の人間のコミュニケーションによる文化的変化を楽しみにしていた。
また、魔王がアカシックレコードのような世界の図書館の住人で、古今東西の経済や学問を収めているという所が面白いと、序盤は思った。そして、序盤のそういう魔王が、「絶え間ない争いで停止した世界を進めたい。というか、世界の向こう側を見たい」と言ったので、それを期待した。世界を全て知ってそれに飽きた者が、何を求めるかを期待したのだ。
それで最後まで読んだ。
結果として、テレビゲームのような中世ヨーロッパパロディファンタジー世界に住む彼らにとっての向こう側である未来、すなわち、経済感覚、農地改革や医学改善、宗教改革、異民族との外交、資本主義と民主主義!というものは、彼らにとっては向こう側だが、私にとっては過去の出来事だ、と言う事に絶望した。
いや、作品として、小説内では、魔王さんが「図書館の座学よりも、やっぱり実践すると実感するよね」という、とてもごく普通の、ありきたりの、アニメとかでよくある、小説としてはインパクトもない発想をするのは、この小説の中では破たんしていない筋書きだから良いんだけどね。彼女の生き方としてはそれで良い。
だが、彼らが新しい世界を夢見て未来を目指す物語だが、結局は、基底現実の技術を部分的に中世パロディの世界に投入し、基底現実の過去を安穏と肯定しているような、ねじれ構造があった。
だから、彼らは向こう側をまだ見る事が出来るが、科学技術を進め未知の大陸を無くし、人口をあふれさせ生きてるだけでエネルギーを枯渇させつつある我々にとっては、ただのノスタルジーであり、絶望だ。
とあるid:p_shirokuma先生が言っていたように「カオスは秩序によって滅ぼされる物語」という予定調和だったな。ま、2ちゃんねるの”リアルなドラ”クエパロディとしては、よくできた方だと思うよ。各署にマンガやアニメのパロディ要素もあるし、ライトノベルとしての”本気に成りきらないように”という雰囲気作りはしっかりしていたな。
2チャンネル発の”おれたちの”ファンタジーとしてはコンテンツの付加価値もあるし。
多少、都合のいいファンタジー世界観を好き勝手にしていたきらいはあるが、多くの人間キャラクターを駒として過不足なく配置出来ていたと思う。
が、富野のリーンの翼のような意味のわからない突破力はなく、あまり「地平線の向こう側を見た」という感慨はなかった。
リーンの翼は、中世的な異世界と地上の軍事技術と、第二次世界大戦から現代までの歴史を混ぜ合わせ、その結果、なんだかよくわからないロボットのような物をオーラバトラーと言い、人の魂がどうたらこうたらを、綺麗な落とし所をつくらず、散りゆく桜のように駆け抜けた。そして、桜は散る事でまた新しい命をつなぎ、それが世界の向こう側をつなげるのかもしれん。
とにかく、2ちゃんねる発の若者のファンタジーが「過去技術の肯定で、オチはファンタジー的な調和」で、68歳の富野由悠季のファンタジーが「過去の技術によって、安穏としたファンタジー世界が破滅し、現実世界も破滅が見えてきたが、ノープランで立ち向かうが、勢い任せで意味不明な核と桜の嵐」というアグレッシブさに満ちているというのが、同じような設定でも好対照だと思った。
っていうか、富野はなんでそんなに粗ぶる若々しさを持ってるの・・・。見た目は痩せ型の禿爺なのに・・・。
追記
いや、まおゆうのラストはもろに逆襲のシャアのアクシズの光による調和だから、富野みたいな、「光を見せて、愚民に気付かせる」っていう落ちなんだけど。でも、富野はその後に閃光のハサウェイやガイア・ギアやVガンダムで「やっぱりだめでした」って書くし、∀ガンダムの前に人類滅亡してるし。
でも、最後は「ディアナは幸せである」に落ち着くから良いのか。
最近は宇宙世紀崩壊期とか、干渉期をキャピタルGで描こうとしてるみたいだけど・・・。???
富野は「若者に任せよう」っていうのと「全員死ね!」っていう、勇者と魔王を一人でやってる爺さんだから、いろいろとアレだ。
うむ。
結局話題作を出しに富野スゲーをしたがるのが、富野信者の悪い癖だな。私も世俗での生き方を忘れたようだッ!
そして、私も一文にもならない小説をブログに乗せている身としては、富野のアグレッシブさと、若者の絶望を組み合わせ、脳内妹の威光を基底現実に知らしめんと欲するものである!
だけど、何故かさっき、全然下半身の感覚がなくて痺れてるのに、パンツに血便が付いていた。もう駄目かもしれない。吐きそう。