Shujima Blog

Apple製品,技術系の話をするブログ

Lightning/microUSB兼用ケーブルは絶対にiPad Proに使っちゃいけない

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バカをやりました.

表題の通り,ダイソーで売ってたLightningとmicroUSBを兼ねる端子を持つケーブルで,家を焼きかけました.

幸いすぐにLightning端子から煙が上がっているのを発見し,火災も物的被害もありませんでした.

概況

iPad Pro 10.5"を充電するために,普通のモバイルバッテリーと「ダイソーのライト二ング・micro-B充電・通信ケーブル」で接続しました.

当該製品のパッケージ写真を撮り忘れてしまいました.代わりに似たような製品をAmazonで見つけました.

こんな感じでiPhone/iPadで使用されるLightning端子とその他多くの機器で使用されるmicro-USB Type B端子をキメラ的に合成した充電用ケーブルです.

そもそもなぜこんな怪しいケーブルを買ってしまったかといえば,

  • Lightningケーブルの不足を感じる
  • 今年や来年あたりにUSB Type-Cに移行するであろう流れの中で高いLightningケーブルを買いたく無い
  • でも,早くUSB Type-Cに統一された利便性を享受したい
  • せめてLightningとUSB Type-B microだけでも統一すれば便利では?

という思考で,好奇心に身を任せてしまった結果です.これはそのケーブルを試用しているときの出来事です.

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iPad Proとモバイルバッテリを接続して10秒ほどで焦げ臭い匂いが立ち込めました.すぐにiPadを見ると,Lightning端子部からの煙を確認しました.

発生後の状況と対応

直ちにiPadからケーブルを抜き,モバイルバッテリからも全てのケーブルを抜きました.

iPadとモバイルバッテリについて,本体温度や外観に異常が無いことを確認し,充電や放電が正常に行われることを確認しました.

ケーブルのLightning/microUSB兼用端子部は焦げで汚損していました.

推定される原因

当初はケーブルの定格2[A]に対してより過大な充電電流が流れたためと考えました.しかしながら,iPadの充電電流とモバイルバッテリの最大給電電流は共に2.4[A]であり,定格に対して20%しか大きくありません.

そこでケーブルの端子構造によるショートを疑いましたが,このケーブルは 手持ちのiPhoneやmicroUSB機器で既に正常に利用できており,iPadで突如ショートする理由が分かりませんでした.

その後iPadを端子部を清掃しているときに,ようやく 「iPhoneとiPad ProのLightning端子は違う」 ことに気づきました.

問題のケーブルは表から見ると普通のmicroUSB(B)端子のような形状をしており,金属シールドに覆われています. f:id:masa_flyu:20180818015550j:plain

裏返すと,Lightningの端子部が現れます.

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iPhoneの端子部は裏側に8ピンあるため,この端子が接触して,通電します.

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ところが,iPad ProのLightning端子は以下のようになっています.

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表裏に8ピンずつ端子があるのが分かるでしょうか.これはUSB3.0の通信に対応させるためです.

そして,これはおそらくですが, 電源ピン(5V,GND)については,表裏共に1ピンずつあるはず です.

さて,今回問題となったケーブルですが, 表面は金属の1枚板で構成されています

つまり, 表側の電源ピンがショートしてしまう ということです.

どうして起きてしまったか

今回推測した原因から言えるのは,このケーブルとiPad Proの組み合わせだから起きたということです.

この手のケーブルの多くは表面が金属で作られているでしょう.また9.7インチを除くiPad Proは全て表裏にピンがあるLightningコネクタを採用しています.

よって,このケーブルはほぼ全てのiPad Proに使用してはならないと言えます.

そもそも,このケーブルは2[A]までの許容電流であり,2.4[A]を要求とするiPadシリーズ全般で使うことができません.ケーブルの説明をよく読み,仕様通りに扱っていれば起きなかった事象です.

また,iPhoneの充電には正規のLightningケーブルを用いるべきなのは言うまでもありません.

総じて,大電流を流す昨今の充電ケーブルに対する認識の甘さが招いたことと言えます.

再発防止策

この手のケーブルに手を出すのは控えます.充電には(純正またはMFi認証を取得した)正規のケーブルを使用します.

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