『ニンジャ・アサシン』


 またまたダークキャッスルから、歪みなき血みどろ映画! 今度はR-18です!


 1000年の昔から、金塊と引き換えに暗殺を続けて来た、「役小角」(えんのおづぬ)の一族。世界各地から子供を誘拐し、強大な力を持つ忍びとして育て上げてきた。しかし、そこでの修業時代、唯一心を通わせた少女・霧子を裏切りの罪で処刑された雷蔵は、ある日、頭領小角に叛旗を翻し、抜け忍となった。一方、CIAが密かに忍者の存在に目を付け……。


 韓国の人気歌手ピが主演。しかし断じて、アイドルの顔出しが売りの宣伝映画なんかじゃないんだな。なんでここまで!?というぐらいに鍛え抜かれたピの肉体美にぶっ飛び、妥協なき血糊の量に押し流され、容赦ない修行という名目の児童虐待シーンの連発にビビりつつ、忍者の頭領・小角役がショー・コスギという完璧なキャストに平伏。全てにおいて最大限の努力と敬意を感じる、怒濤のアクション巨編!


 いまいち華がなく台詞も少ないピなんだけど、作り上げられた肉体は本物で、傷だらけの血塗れで大熱演。
 対するショー・コスギがまた熱い。気品ある、いかにも人格者然とした、落ち着いた佇まい……角刈りと着物がめちゃ似合うぜ。さすが伝説の「ニンジャ」! しかし中身は子供を殺人思想に洗脳し、彼らを「家族」「私の子供たち」と称する、どす黒い悪意を秘めたカルトの親玉なのだ。


 忍び達の中で後継者と目されていた天才・雷蔵に裏切られ、コスギ小角は「父を裏切るのか、我が子よ……!」と激昂。雷蔵の兄弟子である武(たけし)に抹殺を命ずる。この武は、教えに忠実に従い、小角の命のままに動く殺人マシーンだ。
 いや……この設定……何か、隠された意図を感じずにはいられないね。
 ショー・コスギと言えば、息子はご存知ファイト一発のケイン・コスギなわけだが、実はこの親子、勘当の絶縁状態にあるんですね。息子が独立の際に、父の会社からスタッフを引き抜いたことが原因だそうで……。
 そういう背景を知っていると、「息子」の裏切りを責めるショー・コスギの演技も、やけに熱がこもって見える。ケインの本名が「たけし」であることも、何か示唆的だ……。映画の中の武は、あるいはショー・コスギにとっての理想の息子なのではないか? 


 しかし映画の中で、雷蔵は親子関係を迫るショー・コスギに向けてこう叫ぶ。


「あんたは父親なんかじゃない……! あんたを殺した時、ようやく俺の人生が始まるんだ!」


 ああ……なんと……なんと酷な設定! 演技とはいえ、この台詞を投げかけられたショー・コスギは、いったい何を思ったことだろう!?


 ベタなストーリーも深読みすると色々楽しめる。大いに楽しんだ快作だ。

IT'S RAINING

IT'S RAINING

ショーコスギのLet'sタオルサイズ [DVD]

ショーコスギのLet'sタオルサイズ [DVD]