写真●偽造カードによる現金引き出しの疑いで委託社員が逮捕された問題で謝罪するNTTデータの岩本敏男代表取締役社長と植木英次執行役員第二金融事業本部長
写真●偽造カードによる現金引き出しの疑いで委託社員が逮捕された問題で謝罪するNTTデータの岩本敏男代表取締役社長と植木英次執行役員第二金融事業本部長
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 NTTデータが「地銀共同センター」のシステム開発を委託していた企業の技術者(58歳)が偽造キャッシュカードを使って現金を引き出した容疑で2012年11月26日に逮捕された事件について、NTTデータは11月27日、現時点で判明している経緯や緊急対策について発表した(写真関連記事)。

 地銀共同センターは、13の地方銀行が参加する国内最大の共同利用型勘定系システム。容疑者はNTTデータの二次委託先企業に所属し、同センター構築の初期段階である2003年4月から継続してセンターのシステム開発に従事していた。顧客がATM(自動現金預け払い機)を利用した際、地銀共同センターの利用行と提携金融機関の間で発生する取引情報を、この容疑者が不正に取得してキャッシュカードを偽造した。この取引情報には口座番号や暗証番号などが含まれる。

 NTTデータは、容疑者が取引情報を入手した詳しい経路については「警察の捜査協力中の段階にあるため公表できない」とした。この容疑者はシステム改修後の本番稼働時などに、システム室に入室して監視や障害対応などの作業にあたることもあったという。NTTデータによれば、こうした作業の際、通常のシステム運用者や開発担当者では取得できない情報に不正にアクセスしたのではないかとしている。

 NTTデータは地銀共同センターにおける緊急対策として、顧客の口座番号や暗証番号などを含む重要情報には専用の管理ツールでしかアクセスできないよう対策を徹底する。そのほか再発防止に向け、同社が運用している顧客企業のシステムについてもセキュリティ対策の再点検を急ぐ。