キヤノンマーケティングジャパンとキヤノンITソリューションズが稼働させた西東京データセンターの外観
キヤノンマーケティングジャパンとキヤノンITソリューションズが稼働させた西東京データセンターの外観
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建物の要所にある柱に導入された縦揺れ制震ダンパー
建物の要所にある柱に導入された縦揺れ制震ダンパー
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サーバー室内の様子。LED照明を導入した。ここに、各種サーバーが立ち並ぶことになる
サーバー室内の様子。LED照明を導入した。ここに、各種サーバーが立ち並ぶことになる
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 キヤノンマーケティングジャパン(MJ)とキヤノンITソリューションズ(ITS)は2012年10月17日、西東京データセンターを稼働させる。地震の縦揺れを抑えるダンパーや入館時の3次元スキャン装置など、最新技術を導入した。「このデータセンターを起点にサービス事業を強化していきたい」と、キヤノンITS ITサービス事業本部ITサービスビジネスセンターの溝江敏弘センター長は意気込む。

 西東京データセンターは、地上4階、地下1階のデータセンター専用建物である。延べ床面は1万6883平方メートルで、1階から3階まであるサーバー室に約2300ラックを設置可能だ。このうち2割程度のスペースをキヤノングループの社内サーバーやクラウド事業で使用し、8割は企業などに貸し出す。

 主な特徴は、地震による揺れやセキュリティへの対策に新しい技術を導入している点だ。

 地震による縦揺れへの対策として、建物の要所にある柱に、「縦揺れ制震ダンパー」を19本組み込んだ。これにより揺れを最大25%低減させる効果が期待できる。「縦揺れへの対策を実施しているデータセンターはまだ少ない」と、キヤノンITS ITサービス事業本部ファシリティマネジメント部の八木淳寿部長は話す。

 建物内部への入室時と退室時には、空港などで使用されている3次元ボディースキャナーを使って検査。不正な持ち込みや持ち出しがないかをチェックする。手荷物はX線で検査する。入室時は静脈認証装置による認証も必要だ。

 設備の故障への対策も実施している。双方向無瞬断切換装置(STS)と呼ばれる装置を導入。設備故障などが発生しても、5ミリ秒以下で予備電源に切り替えることができる。

 自家発電装置は3台を導入済み。今後サーバーの台数が増えた場合は、2台追加できるスペースも確保した。燃料は50万リットルを備蓄しており、すべてのスペースにIT機器を導入した場合でも72時間の給電が可能であるという。

 サーバー室にはLED照明を導入し、人感センサーで照明を自動的に点けたり消したりする。床荷重は、1平方メートル当たり1.5トン。1ラック当たり20kVAの電源が利用できる。

 キヤノンMJとキヤノンITSは、今後アウトソーシングサービスやクラウドサービスをこの西東京データセンターから提供する計画。