「おっぱい山」御神体の作成

先日、知人の結婚式で阿蘇に行ってきました。
阿蘇には米塚という見事な「おっぱい山」があります。



写真:「左:阿蘇山周辺(Landsat8、国土地理院標高タイルを使用)、右:阿蘇の米塚」


「おっぱい山」は、ジオパークの看板にあるように火山の噴石が円錐状に積み上がることによって形成されます。

写真:「阿蘇ジオパークの看板」


こういうのを「スコリア丘」と言うらしく伊豆の大室山や西之島も「おっぱい山」です。


https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/cf/Mount_%C5%8Cmuro_20120218_b.jpg/320px-Mount_%C5%8Cmuro_20120218_b.jpg http://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/2015nishinoshima/20151117photo/mphoto4_20151117.jpg
写真:「左:大室山(出典:wikipedia)、右:西之島(出典:海上保安庁)」


「おっぱい山」は、その美しさで人々を魅了するですが、このように、その実態は火山だということを忘れてはいけません!もし、再び噴火が始まれば、おっぱい山を愛でることもままならず、最悪その美しさも損なわれる可能性があります。


そこで今回は、「おっぱい山が荒ぶることなく、美しくあり続けますよーに」と、どこからでも祈願できるように「おっぱい山」御神体 を作成してみたいと思います。


用意するもの

1. 御神体の準備

「おっぱい山」御神体を作成するために、まず型を用意します。
型を作るためのファイルは、地理院地図3Dからダウンロードしたstlファイルをchiriin3d_reverseで裏返して作成します。
 
写真:「左:地理院地図3DからダウンロードしたSTLファイルをmeshlabで表示、右:裏返して型にした状態」


これを3Dプリンタで造形すれば良いのですが、手元に使用できる3Dプリンタがありませんので、DMMのサービスを利用してみます。ファイルをアップロードして、しばらく待つと材料ごとの見積が作成されるのですが、、、
う〜ん、高いですね。。。



最安のナイロン製でも78,341円です。これからはmakersの時代だ!と思っていたのですが、この価格設定を見る限り、まだ時代はキテないのかもしれません。


ということで、3Dプリンタはあきらめて、お椀で代用します。これに寒天を注ぎ込み、30分冷蔵庫で冷やした後、慎重に取り出します。最後に、山頂部分にLEDを装着すれば御神体の本体部分の完成です。


 

写真:「おっぱい山御神体」(水を少なめにすると触感がいい感じになります)

2. ラズベリーパイとの接続

「おっぱい山」御神体にどこからでも祈願できるように、ラズベリーパイを御神体に接続してIoT化します。
ラズベリーパイには、無線LANのアダプタとWebカメラを装着します。また、GPIO端子は、御神体山頂のLEDと接続しておきます。あと、御神体側からメッセージを送るためのボタンも接続しておきます。


 
写真:「ラズベリーパイとおっぱい山」(ラズベリーパイではPythonの常駐プログラムを実行しておきます)

3.地理院地図の準備

「おっぱい山」御神体に祈願するためのインターフェースを地理院地図で作成します。
今年のfoss4g Tokyoの藤村さんのハンズオン資料を参考に、おっぱい山のポイントを2/3/1.geojsonで作成します。

ポイントを配置した場所は、左おっぱい山は阿蘇の米塚に、右おっぱい山は伊豆の大室山にしました。
ポイントをクリックすれば、おっぱい山への願いが送信できるように、2/3/1.geojsonのstyle.jsにPOST処理を追加します。また、御神体の最新状況を確認できるように、index.htmlに@oppaiyama38のツイートが表示されるツイッターウィジェットも追加します。



写真:「地理院地図を利用したIoTインターフェース」(フッター部分をスライドさせると、御神体の状況を確認できます)

4. AWS IoTの準備と全体のフロー

地理院地図から「おっぱい山」御神体にメッセージを送るために、AWS IoTを利用します。全体のフローは、こんな感じです。


  1. 地理院地図からGateway APIで作成したREST APIに対してPOSTします。
  2. Gateway APIは、Lambdaを呼び出します。
  3. Lambdaは、AWS IoTに対してThings(御神体)にPublishするよう命令します。
  4. AWS IoTは、MQTTプロトコルでラスベリーパイと通信します。
  5. ラズベリーパイは、御神体山頂のLEDを光らせます。

完成


こちらにアクセスすると、我が家の台所に祀ってある「おっぱい山」御神体に参拝できます。
http://tmizu23.github.io/tmizu23_gsimaps/
[表示できる情報]から [おっぱい山]を選択して、ポイントを表示させてください。

参拝の方法
  1. 「おっぱい山が荒ぶることなく、美しくあり続けますよーに」と願いを込めて、地理院地図に表示させた「おっぱい山」のポイントをクリックします。左おっぱい山でも、右おっぱい山でも、好みの方をお選びください。
  2. 御神体に願いが届くと、我が家に祀ってある「おっぱい山」御神体の山頂が赤く光ります。
  3. 参拝者には、お礼のメッセージと共に巡礼者番号が通知されます。
  4. 巡礼者番号の下一桁が0の場合、webカメラで撮影した参拝時の画像がツイートされます。
  5. 巡礼者番号の下二桁が81の場合、webカメラで撮影した参拝時の動画がツイートされます。

まとめ

地理院地図やラズベリーパイ、クラウド技術を誰でも簡単に利用できるようになったおかげで、おっぱい山をいつでもどこでも拝むことができるようになりました。

ただ、実物で見る「おっぱい山」の美しさは、やはり格別です。
是非、阿蘇に行って、実際の米塚を拝んでみてください!!!
(※おっぱい山どこですか?と聞いても通じないのでご注意ください。)



写真:「米塚のウェディングケーキ」(知人の結婚式より)

その他

今回作成した「おっぱい山」御神体ですが、我が家の中では、サンタクロースにメッセージを送る装置ということになっています。クリスマスに欲しいものをホワイトボードに書いてボタンを押すと、サンタクロースにその願いが届くかもしれないよ!そして、時々、ライトが赤く光るのは、サンタクロースを乗せたトナカイがこちらに向かっている合図だよ!と、子供達に伝えてあります。(実際には、ボタンを押すと、Webカメラで画像を撮影してツイートするだけなのですが、それは伝えてません)

そのため、Twitterにアップされた画像には、子供が欲しいクリスマスプレゼントが写り込んでいますが、気にしないでください。もし、不憫に感じた場合は、プレゼントを送ってもらうのは、構いませんのでご遠慮無く。



https://twitter.com/oppaiyama38