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【皐月賞】無敗のダービー馬誕生を予感させる“1分57秒1”の大レコード

  • 2024年04月15日(月) 18時00分

父キズナの背中追い世代の頂点へ


重賞レース回顧

皐月賞を制したジャスティンミラノ(撮影:下野雄規)


 昨年のソールオリエンスに続き、また今年も2戦2勝の戦歴で挑戦したジャスティンミラノ(父キズナ)が接戦を競り勝ち、第一冠「皐月賞」馬となった。2歳戦が実施されるようになった翌1947年以降、キャリア2戦での勝ち馬は2年連続史上2頭目だった。

 また、2月の「共同通信杯」から直行のスケジュールでの皐月賞制覇は、グレード制が導入された1984年以降、2012年のゴールドシップを筆頭に、13年間で「7頭」となった。

 勝ったジャスティンミラノは、1週前の追い切りまで藤岡康太騎手(享年35歳)が調教に騎乗し、教え込んで入念に仕上げてきた馬だった。

 勝ちタイムは1分57秒1(前後半の1000m57秒5-59秒6)。2017年にアルアインが記録した皐月賞レコードの1分57秒8、2015年にラブリーデイが中山金杯で記録したコースレコードの1分57秒8を同時に0秒7も更新する快レコードだった。

 これでジャスティンミラノは5月26日の日本ダービーを目指すことになるが、日本ダービーは1996年に2戦2勝のフサイチコンコルド、2021年には3戦2勝シャフリヤールが制している。

 近年のビッグレースには間隔を空けたスケジュールは珍しくなく、頂点の日本ダービーも現在の競走体系になった1947年以降、2頭も浅いキャリア(2-3戦)の馬が勝っている。今年は4戦4勝のダービー馬が誕生する可能性がある。

 父キズナ(その父ディープインパクト)は2013年に7戦目に日本ダービーを制している。直近の母方はややスピード色が濃いが、祖母の父は愛ダービー馬、3代母の父ダルシャーンは2400m当時の仏ダービー馬。距離延長に対する不安は少ない。

 クビ差2着のコスモキュランダ(父アルアイン)は、祖父ディープインパクト、父アルアインに続いて父子3代連続「皐月賞制覇」にあと一歩だった。J.モレイラ騎手騎乗で7番人気にとどまったから、高い支持を受けていたわけではないが、前走の弥生賞2000mの1分59秒8はレースレコードであり、今回は中団から外を回ってロングスパート。クビ差惜敗の同タイム1分57秒1は、秘める能力通りだっただろう。

 2400mの日本ダービーには距離不安がないわけではないが、J.モレイラ騎手の短期免許は6月5日まである。続けて騎乗してくるなら、昨年のタスティエーラが皐月賞2着から逆転したと同じようなシーンがあるかもしれない。

 3着ジャンタルマンタル(父パレスマリス)は、坂を上った地点では勝ったと映る態勢だった。結果的には1000m通過57秒5で飛ばしたメイショウタバル(父ゴールドシップ)のペースに乗り、少しだけスパートが早かったかもしれないが、強気に勝ちに出て自身も従来のレコードを大幅に更新する1分57秒2(上がり34秒9)。勝ったジャスティンミラノにマークされる形になったのが痛かった。初の2000mは十分にこなした。まだ活力が残っているかどうかがカギだが、父パレスマリスは3歳になって連戦の6戦目のベルモントS(ダート12F)を快勝している。

 1番人気に支持された牝馬レガレイラ(父スワーヴリチャード)は、良血牝馬らしい気品あるスマートな仕上がりだったが、心なしか力強さを感じさせなかったかもしれない。
出足一歩で後方追走になってしまい、残した上がりの数字33秒9は最速タイではあるが、迫力と鋭さを感じさせなかった。まだ今回が4戦目、たちまち高い評価を取り戻してくれるはずなので、巻き返しに期待したい。

 気合を入れてハナを切る形になったメイショウタバル(父ゴールドシップ)は、パドックではおとなしいくらいだったが、時間がかかったゲート入りでテンションが上がりすぎた。さすがに前半1000m通過57秒5になっては失速もやむをえない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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