2011.12.09
# 雑誌

週現スペシャル 日本はギリシャそのもの
ああ、公務員だけがこんなに幸せな社会

年金も退職金も健康保険も給料も住宅も、
すべて充実。そのお幸せな中身を紹介
国家公務員の南青山宿舎。家賃は相場の10分の1

 官僚を打倒するはずが、官僚に打倒された民主党政権のせいで、お役所は肥え太っている。国民には増税で出血を強いるが、特権は決して手放さない。一部の役人だけが幸せ、そんな国は長くもたない。

本当の給与は民間の2倍

 その国では、国民の実に1割が「公務員」である。労働者人口に占める割合は25%、つまり働くオトナの4人に1人は、公務員として税金で飯を食っている。

 この「役人天国」において、公務員は「○○手当」などの名目で次々と給与が加算され、時にその加算分は、基本給の3倍にもなった。年金は50代から支給され、本人が死亡した場合、受給権は妻だけでなく、未婚または離婚した娘も引き継ぐことができる。

 あまりにその身分が美味しいため、公務員の地位は、選挙応援に対する〝謝礼〟になった。その結果、公務員の数はますます増えた。人間が増えれば、必然的に仕事はなくなる。しかし、だからといって給料や年金が減りはしない。

 やがて、その国は国家財政が破綻した。これは、EU(欧州連合)のお荷物と化し、世界金融危機の引き金を引こうとしているギリシャのことである。

 だが、われわれ日本人は、ギリシャのことを笑えない。「ギリシャ」の部分を、「日本」に置き換えてみればいい。民間の平均値に比べ、はるかに恵まれた待遇と社会保障。定年後には天下りで優雅な老後を楽しみ、一生、食うに困らない。そんな役人天国ぶりは、日本も何ら変わらない。

 一般企業勤務の後に中央省庁傘下の特殊法人に約10年間勤務し、そこでの経験をもとに、役人の公金浪費や天下りの実態を追及しているジャーナリストの若林亜紀氏はこう語る。

「国家公務員の場合、財務省の公表している決算書をもとに計算すると、彼らの平均年収は、約806万円にもなります。今年9月に国税庁が発表した一般国民の平均年収は412万円でしたから、民間の2倍の給与ということになります。

 同じように、公務員は年金も恵まれています。平成21('09)年度のデータで、民間サラリーマンの加入する厚生年金の平均支給額は月16.5万円ですが、公務員の共済年金の場合、国家公務員が21.7万円、地方公務員が22.5万円となっています。月に5万~6万円、年間にして60万~70万円も手厚い年金なんです」

 11月23日まで行われた「提言型政策仕分け」では、最終日に年金の過払いが取り上げられた。この10年あまりで7兆円もの年金過払いが発生しているため、それを解消=年金の減額を行うというのである。

 だが、ちょっと待って欲しい。「国民の生活が第一。」などと称して政権交代した民主党は、「官の」ムダを徹底的に排除する、と言ってきたのではないか。

 仕分けの現場には、厚労省の年金局長や蓮舫行政刷新相、小宮山洋子厚労相らもいた。だがその場で、「まずは公務員の人件費をカットするべき」と主張する者は誰もいなかった。なぜ、ムダの排除が「官」ではなく「民」からなのか。

 元経産省キャリアの岸博幸・慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授も、こう批判する。

「民主党政権になってから、公務員制度改革は完全に逆行しています。事実上、天下りは解禁されており、一方で、みんなが定年まで働くということにしてしまったため、高給のまま官庁に居残る高級窓際官僚が増えた。すべてがメチャクチャな状態です。

 もともと民主党は、公務員の人件費を2割カットするとしていました。その話はどこへ行ったのか。最近、震災を名目に公務員の給与を7.8%カットすると言い出しましたが、これはたった2年の時限立法です。復興増税、消費税アップと言うなら、真っ先にカットすべきものをカットしなければならないのに、公務員改革には手をつけない。これほど、国民をバカにした話はないでしょう」

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