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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画 第2期」 第10回

予想がつかない「おそ松さん」人気/刀剣乱舞が倍増/東方が久々に増加

コミケとpixivの二次創作人気を調べてみた(コミックマーケット89編)

2015年12月24日 18時00分更新

文● myrmecoleon 編集●村山剛史/ASCII.jp

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 この連載では、独自に収集したデータを使って、みんな知ってるようで知らないニコニコ動画やpixivの現在を紹介していきます。今回は今月末開催のコミックマーケット89開催について調べてみました。連載一覧→第2期第1期

1週間後には最終日を迎えている「コミックマーケット89」での二次創作人気をチェック!

筆者紹介:myrmecoleon

 明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β実行委員。趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。記事に使ったデータ元の『ニコニコ統計データハンドブック2015』など同人誌をコミケで頒布。ブロマガでは連載記事の補足も。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった著作に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)。左の画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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コミックマーケット89は12月29日から31日の三日間開催

 2015年12月29日(火)から31日(木)にかけての年末、東京お台場の東京ビッグサイトにおいて同人誌即売会「コミックマーケット89」が開催されます。

 第二期第7回では「コミックマーケット88」に関しての記事を書きました。今回はコミックマーケット89の人気の動向と、人気作品のpixivでの動きをみていきます。

 これまでの回でも説明した通り、コミックマーケットではジャンルコードという仕組みがあり、これを目安にどういった分野のサークルがどれくらい参加しているかを調べることができます。今回の参加サークルの比率はグラフ1の通り。大きくは変わりませんが、今回は刀剣乱舞の影響でゲームが拡大、変わってマンガと男性向が減っています。

公開されているコミックマーケットWebカタログ・DVDカタログのジャンルコード情報を参考に、いくつかに区分けしたコミックマーケット89のサークル数の比率

 この連載では特にコミケの6~7割を占める二次創作サークルについて注目し、作品毎のサークル数をカウントしています。数え方については以前の記事で細かく説明しましたのでそちらをご確認ください(第1期第39回の囲みコラム「サークルの数え方」参照)。

 今回のコミックマーケット89のサークル参加申し込みは、郵送が8月10日から19日、オンラインが8月11日から24日でした。このため今回のデータは“2015年8月中旬にコミックマーケット89に申し込んだ同人サークルがどのような作品に関する同人作品の頒布を予定していたか”が反映されている数字となります。

 現在のものではありませんし、あくまでコミックマーケット内での参加の規模を見ているものです。コミックマーケットは比較的参加者の年代が高いこと、開催地の関係で関東圏の参加者の割合が多いこと、海外のサークルは参加しにくいなどの偏りがあり、同人サークル全体の傾向を示すものでもありません。

 上記のような事情もありますが、コミックマーケットは最大の同人誌即売会であることから、一定の参考になると評価してご紹介しています。上記をふまえてご覧ください。

刀剣乱舞が倍増 東方がひさびさに増加

 上記の方法で調べたコミックマーケット89で多かった作品はグラフ2の通りです。参考にコミックマーケット88での数も載せています。なお「血界戦線」「スプラトゥーン」は上位ではありませんが前回予想した関係で参考に載せています。

コミックマーケット89のWeb・冊子・DVD-ROMの各カタログを参考に、各作品の二次創作サークルの数を概算したもの。調査方法は前回参照。正確な数字は求めるのが困難のため参考程度に。グラフが青いのは男性サークル寄り、赤いのは女性サークル寄りの作品。VOCALOID・スプラトゥーンは中間程度のため紫とした。また参考にコミックマーケット88のサークル数を灰色で示している

 前回の予想と結果をまとめると下記の通り。

 今年1月にスタートしたブラウザーゲーム「刀剣乱舞」(第1期第44回参照)は予想通り大きく拡大。単独ジャンルコードを与えられた初回で、1700サークルを超えて東方Projectを抜き今回のコミケ第二の規模の作品となりました。前回の申し込み時はゲーム開始直後だったため、今回が本領発揮と言ったところでしょう。

 「東方Project」も予想通りに久々に増加。増加を予想していた「血界戦線」は200超の増加。ゲームで話題になった「スプラトゥーン」も50サークルほどに増えています。微減を予想していた「ラブライブ!」はほぼ現状維持の微減。

 また、減少を予想していた6作品は軒並み減少と、こちらはおおむね当たりました。

 一方で、微減と予想していた「艦隊これくしょん」は今回微増と予想を外しています。グラフの値から下目に見積もって現状維持を予想していた「ヘタリア」「VOCALOID」も予想以上にサークル数を落としています。まだまだ予想は難しいですね。

 全体としては14作品中10作品でほぼ的中とまあまあの的中率でした。

 ほかではTYPE-MOONのFateシリーズが微増で相対的に順位を上げています。アニメ放送および新作ソーシャルゲーム「Fate/Grand Order」スタートの影響でしょうか。

 以下、「グランブルーファンタジー」「ワールドトリガー」「ダイヤのA」「銀魂」「魔法少女まどか☆マギカ」「戦国BASARA」などのサークルが多くみられました。

コミケ88→89でのサークル数変化予想結果
予想 結果 ○×
刀剣乱舞 増加 増加
東方Project 増加 増加
血界戦線 増加 増加
スプラトゥーン 増加 増加
ラブライブ! 微減 微減
ヘタリア 維持 減少 ×
VOCALOID 維持 減少 ×
艦隊これくしょん 微減 微増 ×
アイドルマスター 減少 減少
ハイキュー!! 減少 減少
黒子のバスケ 減少 減少
弱虫ペダル 減少 減少
進撃の巨人 減少 減少
TIGER&BUNNY 減少 減少

 (筆者調べ)

 今回は予想通り刀剣乱舞が拡大し、その関係で他の女性人気の高いタイトルが軒並み減少しました。東方・艦これは今回人気が拡大したというより、前回は刀剣乱舞が急遽同日程に入った関係で倍率が高めになっていた揺り戻しと思われます。

 今年はじめのヒットから予想された通り、刀剣乱舞の影響の大きい2015年のコミケとなりました。

 グラフ3で作品が該当するジャンルコードと、その他のジャンルコードで分けたサークル数をグラフにしてみました。

 今回もジャンルコード「男性向」での参加が多いのは「艦隊これくしょん」「アイドルマスター」「ラブライブ!」。「東方Project」の同様の傾向のサークルはこれまでも紹介している通りジャンルコード「東方Project」内で申し込まれることが多いためこちらは少ないです。

 もっとも、艦これ・アイマス・ラブライブともにジャンルコード「男性向」のサークルは2~3割減となっています。特に艦これは前回に引き続き全体のサークル数が増加しているのに対して「男性向」のサークル数が減っており、継続した傾向のようです。

 「男性向」で多かったタイトルとしては、減少したものの「艦隊これくしょん」がまだトップ、次いで同じく「アイドルマスター」と続きますが、今回はソーシャルゲームの「グランブルーファンタジー」が三番手に入りました。グランブルーファンタジーは3分の2が「男性向」とこちら方面で最近活発なタイトルです。

 ジャンルコードの全体的な動きとしては、アイマス・ラブライブで男性向以外が増加したため「ギャルゲー」が108増加。ジャンルコードの「艦隊これくしょん」「東方Project」も上記の通り増加。「ゲーム(その他)」も前回減った分が戻っています。

 逆に大きく減らしたのは「男性向」とハイキュー・黒バスの「ジャンプ球技」、弱虫ペダルなどの「FC(少年)」でした。

 その他では「テニスの王子様」「ゲーム(歴史)」「TIGER&BUNNY」「TV・映画・芸能」が前年比で大きく減らしています。また「ゲーム(恋愛)」は刀剣乱舞が入った関係で前回増加しましたが、それ以前である前年との比でみると23%減です。3年前と比べると「テニスの王子様」「ゲーム(歴史)」は3分の1、「TIGER&BUNNY」「ヘタリア」は半分以下のサークル数となりました。

 ジャンルコード別のサークル数の細かい数字はブログにてすでに公開していますのでそちらをご参照ください。

グラフ2と同様の各作品のサークルの数を、申込みジャンルコードについて通常誘導される該当ジャンルコード、男性向、それ以外(コスプレ等)で分けた積み上げグラフ。前回同様「艦隊これくしょん」「アイドルマスター」「ラブライブ!」で男性向での参加が多い。また「男性向」中3位の「グランブルーファンタジー」を参考に載せた

(次ページでは、「予想がつかない「おそ松さん」人気」)

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