歴史戦

「南京事件」番組、日テレは本紙検証に抗議も、賞の選奨委ですら「虐殺写真」と認識

『大系 日本の歴史14』(小学館、1993年)に掲載されている写真(上の2枚)と日本テレビ記者による『「南京事件」を調査せよ』(文芸春秋、2016年)に掲載されている写真。両書の掲載ページから
『大系 日本の歴史14』(小学館、1993年)に掲載されている写真(上の2枚)と日本テレビ記者による『「南京事件」を調査せよ』(文芸春秋、2016年)に掲載されている写真。両書の掲載ページから

 昨年10月に日本テレビ系で放送された番組「南京事件 兵士たちの遺言」を検証する記事を10月16日付で掲載したところ、日本テレビ側から内容証明郵便で抗議文が送られてきた。番組で使用した多くの人が倒れている写真について「『印象』から『虐殺写真』という言葉を独自に導き」と決めつけているが、そうした「印象」を持ったのが、番組を優れた放送作品として認め昨年度のギャラクシー賞に選んだ選奨委員たちだったことをどう受け止めているのだろうか。

月間賞理由に明記

 抗議文は「虐殺写真と断定して放送はしておりません。にもかかわらず産経新聞の記事は『写真がそれを裏付けている-そんな印象を与えて終わった』と結論づけ、写真が虐殺を裏付けているという産経新聞・原川貴郎記者の『印象』から『虐殺写真』という言葉を独自に導き、大見出しに掲げました」と記事を批判した。

 番組は今年6月、「放送批評懇談会」主催のギャラクシー賞の2015年度優秀賞(テレビ部門)を受賞したが、選考過程において放送があった15年10月度の月間賞に選ばれている。日本テレビ放送網も懇談会のメンバーになっている。懇談会が発行する月刊誌「GALAC」の16年1月号(15年12月発売)には、月間賞に選出時の推奨理由が掲載されている。

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