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<科学の森>「核のごみ」 揺れる台湾 離島に保管、島民は移転要求

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 アジア初の原発ゼロ政策を掲げる台湾が、原発から出た「核のごみ」に頭を悩ませている。南部の離島・蘭嶼(らんしょ)島には低レベル放射性廃棄物が一時保管されているが、放射線に対する不安のため地元は島外への搬出を求めている。原発の「負の遺産」に揺れる現地を取材した。【鈴木玲子】

 ●「暫定」名目で35年

 「最初は缶詰工場が建設されると聞いて喜んでいたが、後になって放射性廃棄物の貯蔵施設だと聞かされた。ずっとだまされてきた」。蘭嶼島の先住民族タオ族の古老、シャプン・ガナウンさん(80)が憤った。島は広さ48平方キロで台湾本島から約80キロ離れ、人口は約5000人。トビウオ漁が盛んな自然豊かな島だが、南側には台湾電力(台電)の低レベル放射性廃棄物貯蔵施設「蘭嶼貯存場」を抱え、台湾では核のごみ問題の象徴になっている。

 「暫定保管」との名目でごみの搬入が始まったのは1982年。今年3月に施設を訪ねると、入り口には「貯存場」の看板があるだけで何を保管しているのか書いていない。しかし施設内に入ると廃棄物を保管する建物23棟が並んでいた。各棟は高さ1・5メートル、地下3メートルの半地下構造。台湾では原発で出た使用済み核燃料を高レベル廃棄物、原発の廃材や廃液などを低レベル廃棄物と分けており、島の貯蔵場には低レベルのごみ…

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