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チャンネルAJER更新しました。
『経済的自虐史観を排除せよ①』三橋貴明 AJER2012.12.11(4)
http://www.youtube.com/watch?v=I63AUqW_H8s

『経済的自虐史観を排除せよ②』三橋貴明 AJER2012.12.11(5)
http://www.youtube.com/watch?v=tBPoxPIsKrg

経済的自虐史観を排除せよ! これ重要!

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【2013年1月11日 江別商工会議所 新春経済講演会】
http://www.ebetsu-cci.or.jp/ibent/h25keizai/h25keizai.html

【2013年1月21日 羽島商工会議所 新春講演会】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_40.html#Hashima
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 青春出版社「“脱グローバル化”が日本経済を大復活させる 」が早くも増刷になりました! 例により、初版部数が普通の作家の方と比べて多かったわけですが、それでもこれほどまでに早く増刷になるとは驚きでございます。



 選挙の話題が多く、本書について詳しく取り上げる機会がありませんでしたが、本書は簡単に書くと「所得とグローバリズム」の物語です。


 グローバリズムとは、モノ(サービス含む)、カネ(資本移動)、ヒト(労働者)という経済の三要素の「国境を越えた動き」を加速することです。逆に言えば、企業や個人について「国家」という共同体の保護をなくしていくことでもあります。


 ユーロがまさに典型です。ユーロ加盟国はモノ、カネ、ヒトの動きを国境線で一切制限しないことで、共通通貨を実現しています。


 結果的に、ユーロという巨大なサバンナ(市場)でルール、規制無用の競争を企業や人間が繰り広げ、所得の奪い合い(貿易収支、サービス収支、所得収支で)を展開し、勝ち組(ドイツ、オランダなど)と負け組(ギリシャ、スペインなど)に分かれていき、勝ち組みは負け組に「自己責任」という言葉を贈るわけでございます。


 とはいえ、そもそもドイツとギリシャでは資本蓄積が違い過ぎ、生産性も異なり、フェアな競争など成り立ちようがないのです。しかも、かつてのドイツ(1800年代)はイギリスの輸出攻勢を回避し、自国の産業を育てるため、英国製品に関税をかけまくり、保護貿易で経済成長を遂げたのです。


 自分たちは過去に保護貿易で生産性を高め、現在はユーロ諸国に「自由貿易」を要求する。ドイツとは本当にすごい国でございます。


 しかも、国同士の競争だけではなく、グローバリズムは国内市場の個人、企業の競争も激しく求めます。結果、ドイツはドイツで、国内で勝ち組と負け組に分かれていっているわけです。
 
 新古典派経済学に基づくグローバリズムは、ナショナリズム(国民意識)を破壊しようとします。とはいえ、結局は「国民」は「国民」としてしか生きられないわけで、民主主義(選挙)を舞台に「グローバリズム 対 ナショナリズム」の戦いが繰り広げられることになります。


 今回、自由民主党はTPPについて「聖域なき関税撤廃を条件とするTPP交渉参加反対」を掲げ、勝利しました。建設、農業など、TPPで真っ先にダメージを受ける国民は、完全に自民党支持に回りました。

 

 医師会は様子見とのことですが、ここで、
「日本の国民皆保険制度は維持する。混合診療ではなく、保険適用の治療拡大のスピードを高める。アメリカの民間医療保険会社に日本の医療市場を食い物にさせるようなことは絶対にしない
 と宣言すれば、医師会はもちろんのこと、多くの日本国民の確固たる支持を獲得することができます。結果的に、7月の参議院選挙も有利な戦いをすることが出来ます。 


 アメリカ側は、というかアメリカのグローバル資本は、
「まずは混合診療の適用範囲を広げさせ、薬価制限も見直させ、日本の医療費を高騰させる。その上で、医療保険会社のビジネスを拡大し、日本から所得を頂戴する」
 という物語でやってきているわけです。


 上記はTPPの作業項目の「ほんの一部」に過ぎず、建設は建設の、各サービスは各サービスごとの「物語」があります。農業にしても「ほんの一部」に過ぎません。農業の国益を守る「物語」を作り、アメリカ側が呑んだとしても、他にも医療、建設、法務、流通、小売、会計、コンサルタント、ITサービス、航空、通信などなど、眩暈がするほど広範囲に渡るのがTPPです。これら一つ一つに「日本の国益を守る物語」を準備しなければ、TPPの交渉に参加することもできません。


 アメリカ側の「物語」を一つ一つ確認し、それら全てに対し「日本の国益を高める」物語を書き上げなければ、たとえ自民党政権に戻ったところで「交渉力」も何もあったものではないのです。かつての通産省(現経済産業省)は、戦中世代が現役で、自国の国益を重視した物語でアメリカ側とガチでやり合っていました。


 結局、アメリカ側は個別では得られるものが少ないと考え、
「個別交渉ではらちがあかない。ちょうど日本側が能力のない政権(菅政権)だから、TPPで一気にケリをつけてしまおう
 と、2010年APECで、いきなりTPP騒動が始まったわけです。


 自民党は、
「聖域なき関税撤廃を条件とするTPP交渉参加反対」
 という民意を得たわけですが、これで諦めるほどアメリカ側は甘くはなく、すでにCSISが動き出しています。


米政府、TPP参加に向けた軌道修正に期待
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2012/news/world/20121216-OYT1T00695.htm
 米政府は、「日米関係立て直し」を掲げる自民党の政権復帰で安全保障や経済などの幅広い分野での同盟関係強化に期待している。
 特に注目するのが、環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る新政権の方針だ。
 自民党の公約はTPPに関してあいまいだったが、交渉参加に向けた軌道修正に期待している。戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長のマイケル・グリーン氏は、ワシントンでの討論会で、「日本の決断を待つのではなく、積極的に参加を求める政策が必要だ」とオバマ政権に提言した。米国は中国けん制を視野に、アジア太平洋地域での透明性の高い貿易ルールを作る場としてTPPを重視する。
 米側には、集団的自衛権行使容認に向けた憲法解釈の見直しや防衛費増額への期待もある。安倍氏は「タカ派」だとの見方もあるが、グリーン氏は、安倍氏が中国や韓国に対しても前回政権時と同様、現実的な政策をとると予測する。(後略)』


 当たり前ですが、日本側が「アメリカが望む軌道修正」をした場合、それは日本国の国益が損なわれている証でございます。アメリカ側が日本の国益を考えてくれるはずがないわけです。


 次期首相が確実視されている安倍総裁は、オバマ大統領との電話会談で、
「国益に即して積極的に自由貿易を推進する方針の下で、まずは協議の内容を把握した上で対応を考えていきたい」
 と述べたそうでございます。


 「国益に即する物語」を用意した上で、対応を考えるという話かもしれませんが、とにかくTPPは交渉範囲が広すぎます。


 現在のTPP交渉は、「コレキヨの恋文 」で書いた通り、まさにTPN(Trans Pacific Netotiation)になっています(最終的に霧島さくら子首相がTPPについていかなる決断を下したのかは、「コレキヨの恋文 」の三章をお読みくださいませ)。


 日本がまともな政権になるとはいえ、交渉範囲が極端に広いTPPに対し、個別に「日本の国益を守る物語」を用意するのは、短期間ではできません


 しかも、自民党は7月の参議院選挙で勝たなければ、真の意味で政権を奪還したことにはならないわけです。


 まずは、デフレ対策。その上で、参議院選挙後に憲法の96条(9条ではなく)改正を含む「戦後レジームからの脱却」。安倍新政権は、過去の日本の政権とは比較にならないほど重い使命を背負っているわけで、TPPで「日本の国益を守る物語」を書くためにリソースを割く余裕もないでしょう。


 というわけで、結局のところTPPは、「コレキヨの恋文 」で書いた通りの結末になると確信しているわけです。

「TPPよりも、まずはデフレ脱却! 戦後レジームからの脱却を!」にご賛同下さる方は、

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