2010.09.21
# 雑誌

「就活」にモンスターパパとモンスターママが出てきて大混乱!

この国の未来は大丈夫だろうか
大学生たちよ、会社は幼稚園じゃない
大学4年生の「暑い」夏は今年も長くなりそう

 子供の可能性を信じ、最後まで温かく見守る―。就活中の大学生を持つ親にとって、子供との距離感が難しいのは事実。だが、あまりに近すぎる親が多いのではないか。

「大学の先生が悪い」って?

「学生の親御さんからの就職に関するクレームといえば、『なぜ、今頃になっても子供が就職できないのか』といった内容が多いですね。『どうしてウチの子が、こんな名前も知らないような小さな会社の内定しか取れないのか』『就職できないのは、大学の先生や、あなたたちの就職指導が悪い』といったものもある。中には執拗に何度も電話をかけてくる、いわゆるクレーマーとかモンスターペアレントみたいな方も、いらっしゃいます。

 みなさんのお話をうかがいますと、高学歴の親御さんのほうが、お子さんの就活に熱心だという傾向があります」

 そう語るのは、明治大学就職キャリア支援部長の永代達三氏だ。

 いま、わが子の就職活動に、本人以上に熱くなっている親たちが増えている。

 モンスターと化した親の厳しい視線は、大学だけでなく、企業側にも向けられる。学生の採用活動に忙しいこの時期、余計な対応に追われる企業にしてみれば、さらに混乱を来すわけで、「迷惑この上ない」というのが本音ではないだろうか。

 都内で催された、ある企業説明会の会場入り口では、こんな光景が繰り広げられた。

「今日は娘の体調が悪いので、私が代わりに来たんです。これが、娘のID。だから、早く中に入れてちょうだいッ!」

 そう訴えていたのは、50代の小太りの女性。鬼の形相で場内係員に食ってかかるその迫力に、リクルートスーツに身を固めた周囲の学生たちはドン引きだ。説明会を催した企業の社員が、苦笑しながらこう話す。

「結局、そのオバさんは強引に入り口を突破。会場内を精力的に歩き回っては説明に来ていた社員にあれこれ質問するなど、現役の大学生たちより、よほど熱心でしたよ。もしかしたら、自分のところの社員の親になる可能性もあるし、最近はヘタに揉めるとネットにどんな誹謗中傷を書かれるかわからないからと、仕方なく黙認しました」

 百貨店や食品メーカー、外食産業を中心に30社受けたものの、いまだ就職先が決まっていない慶応大学法学部の男子学生(4年)は、自身の母親のケースを明かす。

「ウチの母は普段から口うるさく、僕の就活の結果についてもいちいち聞いてくるタイプです。先日のこと。夕方帰宅すると、母がリビングで電話をしていました。何気なくテレビをつけて見ていると、母の口調がだんだんヒステリックになってくる。『ウチではあなた方の商品を長年愛用しているのに、なんで○×(子供の名前)はダメだったのか』と問いただし、しまいには『もう二度と買わないから』と捨てゼリフを吐いて電話を切ったのです。

 さすがに『恥ずかしいから止めてくれ』と伝えても、母は『ウソじゃないんだから、別にいいでしょ』と開き直る始末。電話を取った企業の方には、申し訳ない気持ちで一杯です」

 キー局の女子アナ志望の一人娘(早稲田大学法学部3年)を持つ50代の大手広告代理店社員の場合、悪酔いしてうなされるほど、いつの間にか疲労とストレスが蓄積していた。この社員の知人が明かす。

「先日、高校時代の同級会が開かれた際、普段あまりアルコールを口にしない彼が酔いつぶれて、『エントリーシートが、エントリーシートが・・・』と呪文のように口にしていたんです。娘さんの就活が『いよいよ大変になる』とは話していましたが、『なんで親の彼がそこまで?』と疑問に思って翌日聞いてみたんです。

 すると、このところ毎晩のように帰宅後から明け方まで、テレビ各局のエントリーシートの内容を娘さんと一緒に練っているという。

 その後出社して仕事が終わると、今度は知人のテレビ局社員に会ってはその内容を添削してもらったり、娘さんにアドバイスしてくれるよう、頼んだりしているというのです。いくら大切な娘さんの将来がかかっているとはいえ、『そこまでしなければならないものなのか』と驚きました」

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