2012年1~3月期における世界のスマートフォン出荷台数は前年同期比41%増の1億4460万台となり、同市場は急成長している。しかしその恩恵を受けているのは韓国Samsung Electronicsと米Appleのみで、ほかの多くのメーカーは苦戦を強いられている――。こうした調査結果を、米ABI Researchが現地時間2012年6月15日に公開した。

 それによると、SamsungとAppleを合わせた2012年1~3月期のスマートフォン出荷台数は市場全体の55%になる。これを利益で見ると全体の90%以上を2社で占めている。ABI Researchは、「SamsungとAppleの市場支配力が圧倒的に強いため、有力な第3位のメーカーが果たして現れるかどうか疑問がある」と指摘している。

 2012年1~3月期のメーカー別出荷台数を見ると、Samsungが4300万台でトップとなり、Appleが3500万台でこれに続いた。この後、フィンランドNokiaの1190万台、カナダResearch In Motion(RIM)の1110万台、英Sony Mobile Communicationsの700万台、中国Huawei Technologiesの680万台、中国ZTEの490万台の順になった。

 このうち前期(2011年10~12月期)から出荷台数を伸ばしたのはSamsungとSonyのみで、ほかは軒並み減少している。とりわけNokiaの出荷台数は同40%減と落ち込みが激しく、その下落幅はRIMの同20%減を上回っている。ABI Researchの主席アナリスト、Michael Morgan氏によると、原因はSymbian端末の落ち込みにある。同氏は「Nokiaが、2012年中にこれを補うためには、Windows Phone端末の事業を今の5000%に伸ばしていかなくてはならない」と指摘している。

 北米、西欧ともにスマートフォンの普及率は50%を超え、両市場は飽和状態に近づいている。一方で中国市場は80%増と高い伸びを示しており、メーカー各社は同国に注目している。ただし、中国ではHuaweiやZTEなどのメーカーが、コスト競争力の高い製品で台頭しているため、ほかのメーカーは厳しい競争に直面している。

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