ニワンゴは2012年4月26日、同社が提供する動画配信サービス「ニコニコ動画」の次期バージョン「Zero」を5月1日から運用すると発表した。ページの再読み込みを減らし、動画を高速に切り替えながら視聴できるなど、使い勝手を改善した。新バージョンはプレミアム会員から先行して提供する。旧バージョンからの切り替えは選択制で、旧バージョンのまま使い続けることもできる。

 ニワンゴは、パナソニックとソニーがニコニコ動画を直接利用できるテレビの開発を進めていることも発表した。製品の発売時期は未定だが、既に機能開発などは終了しているという。パナソニックの製品はニコニコ生放送にも対応する。2012年4月28日、29日に開催するイベント「ニコニコ超会議」で、稼働製品を展示する予定である。

 ニコニコ動画:Zeroでは、動画視聴の新ユーザーインタフェース「ZeroWatch」を導入し、使い勝手を改善する。ZeroWatchでは動画の視聴画面サイズをこれまでの「640×368」画素から「864×486」画素に拡大した。タグ編集した結果がリアルタイムにページに反映されるほか、動画再生リストではページを再読み込みせずに素早く動画を切り替えられる。またそれぞれの動画に対する視聴者のレビューを共有する機能も新しく追加する。

 ニコニコ生放送:Zeroも視聴画面サイズを拡大する。視聴画面の下には関連番組の一覧を表示し、視聴ページのままでもほかの番組に切り替えられる。また視聴番組を探すためのカテゴリーのTOPページでは、番組一覧のリストに視聴者数や番組に投稿されたコメントがリアルタイムに表示できる。コメントが投稿されている頻度や内容から番組の盛り上がり具合がビジュアルで分かり、番組選択をしやすくなるという。

 動画の視聴ページでは、新たにほかのユーザーが投稿したコメントやタグなどを評価する機能「ニコる」を開始する。視聴者が面白いと感じたコメントやタグに対して「ニコる」ボタンを押して評価すると、その評価が投稿者にも伝わる。ユーザー間で感情を共有することで、利用を促進する。

 今回新たに開始する音楽ダウンロード機能の「NicoSound」では、クリエイターが許可をした作品について、投稿動画の音声部分を無料ダウンロードできる。ダウンロードした音声は携帯音楽プレーヤーやスマートフォンにコピーして利用できる。ニワンゴはこの機能を提供するために日本音楽著作権協会(JASRAC)と新たな包括契約を締結しており、ダウンロード数を考慮した楽曲利用料が楽曲の権利者に分配される。当面楽曲は無料でダウンロードできるようにするが、将来的にはこのサービスを使った有料での音楽販売も検討する。

 このほか、視聴履歴やタイムシフト予約などを管理する「マイページ」の機能強化や、ニコニコ動画に投稿された音楽を皆で聴くユーザー参加型のリクエスト番組「Nsen」も開始する。Nsenでは「VOCALOID」や「歌ってみた」などのジャンル別に八つの専門チャンネルを24時間提供する。

■変更履歴
ニワンゴから発表内容修正の申し入れがありました。第3段落で、改善後の画面サイズを「854×486」画素としていましたが、正しくは「864×486」画素です。本文は修正済みです。[2012/4/27 20:00]