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チャンネルAJER更新しました。
『三橋貴明のギリシャ紀行(後編)①』三橋貴明 AJER2012.10.23(1)
http://youtu.be/7824Ar8qJkQ
『三橋貴明のギリシャ紀行(後編)②』三橋貴明 AJER2012.10.23(2)
http://youtu.be/B1Brp4qsEqo
後編がアップされました!
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【11月29日(木)国家ビジョン研究会シンポジウム(司会:三橋貴明)】
http://www.kokka-vision.jp/
日時:11月29日(木)13時~17時 会場:衆議院第一議員会館◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
言志4号が発売になりました。
http://www.genshi-net.com/
昨日、福岡行の飛行機の中で一気に読んでしまいましたが、いやあ面白いですね。これを冊子版にして、書籍の流通に載せられれば、結構、影響が大きくなるように思えます。コスト高くなっちゃいますが。
それにしても、さすがに一日に新幹線と飛行機を乗り継ぐと、結構きついです。というわけで、わたくしは現在、福岡に来ております。
昨日、野田総理大臣が福岡の地で「TPP参加を政権公約にする」とぶち上げ、大騒ぎになっています。
『首相 TPP推進を政権公約に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121110/t10013394401000.html
野田総理大臣は福岡市で記者団に対し、太平洋を囲む国々で関税の撤廃などを進めるTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、交渉参加を表明する時期は固めていないとしたうえで、次の衆議院選挙の民主党の政権公約にTPPを推進していく方針を盛り込む考えを示しました。
この中で野田総理大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、記者団が、「今月後半に開かれるASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議で、交渉参加を表明する考えはあるか」と質問したのに対し、「特定の時期に表明する方針を固めているということはない。交渉参加に向けて協議をしているのが今の状況だ」と述べました。(後略)』
民主党の「ノリ」はいつでもそうですが、別に、
「TPP参加は日本の国益になる。なぜなら・・・・・。よって、政権公約とする」
ではなく、
「TPP参加を政権公約にすれば、自民党との争点になるから、公約とする」
でございます。彼らは基本的に「国益」あるいは「日本国民」というものを意識していません。全ては「選挙対策」です。
結果的に、
「へえ~。TPPに参加したいんだ。で、日本に何の得があるの? 具体的に教えて?」
と言われると、途端にしどろもどろになってしまうわけです。あるいは、TPP推進派の連中同様に「抽象論」を語りまくるわけでございます。
「時代はグローバリズムです。アジアの成長を取り込むのです。自由貿易は自由だからやるのです。アメリカとの関係強化です。対中国包囲網です。TPP加盟国間で自由に貿易やサービスの輸出入をすれば、物価が下がりますよ! 嬉しいでしょう」
と、本ブログユーザー様であれば、「バカじゃないの・・・・」と言いたくなるような美辞麗句を並べ立ててくるわけです。本当に、戦前に戦争を煽った新聞記者の連中と全く変わりません。
TPP、グローバリズム、市場原理主義、あるいはユーロ。関税や規制(法律)、社会制度などなど、各国の主権に属する事項を「統一」し、自由自在に国境を越えてモノやサービス、さらにはカネ(投資)、ヒト(労働者)が行き交い、競争ししていけば、経済は成長するよ! 企業は公共サービスまで含めて、全て株式会社化し、外国資本を「差別」せずに、誰でも株式を買えるようにしよう。そうすれば巧くいくよ。
と、TPP推進派ではなく、その向こう側にいる新古典派経済学者らは主張するわけですが(日本のTPP推進派は単にイメージで賛成しているだけ)、現実に上記の政策を推し進めていくと、世界は必ず「勝ち組」と「負け組」に分かれていきます。
現在のユーロが典型です。
【欧州主要国の経常収支の推移(単位:十億ドル) 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_39.html#Inbalance
身もふたもないことを書けば、経常収支とは国同士の所得の奪い合いの「得点」です。経常収支が黒字の国は、その分だけ「他国」の所得を奪っていることになります。
ユーロ発足後、ユーロ諸国は綺麗に「勝ち組」と「負け組」に分かれていきました。生産性の高いドイツなどが、ひたすら黒字を稼ぐ一方、生産性が低いギリシャ、スペインといった負け組は、これまたひたすら経常収支赤字を拡大していきます。ご存じの通り、経常収支の赤字は対外純債務(純負債)の積み上げになります。
ギリシャやスペインの経常収支赤字の主因は、もちろん対ドイツなど「勝ち組」諸国への貿易赤字です。本来、ギリシャやスペインは対ドイツの貿易赤字を縮小させるため、早期の段階で「関税引き上げ」や「為替レート切り下げ」をする必要がありました。さもなければ、対外債務問題が限界を超えて膨らみ、財政危機に至ることになってしまいます(実際に至りましたが)。
ところが、ユーロ加盟国は「ユーロ・グローバリズム」により、加盟国間で関税をかけることが禁止されています。さらに、為替レートは一定です。
結局、スペインやギリシャは関税や為替レートといった「盾」なしで、一方的にドイツの輸出攻勢を受け続け、対外純債務が持続不可能な規模に拡大し、財政危機に突入しました。とはいえ、ドイツ人たちはこういうでしょう。
「同じ市場、同じルールで戦った結果、我々が勝ち、彼らが負けただけだ。彼らが負けたくなかったのであれば、ドイツ製品に勝る製品を生産し、生産性を高めれば良かったのだ。それをしなかった以上、現在の彼らが陥っている状況は『自己責任』だ」
と。
上記は国同士の「勝ち組」「負け組」の話ですが、グローバリズム、TPP等を推進していくと、国内の市場でも同じことが起きます。何しろ、豪州の農家一戸当たりの耕地面積は、日本の1500倍です。この生産性の違いは、技術開発やら努力やらで埋めようとしても、埋めることはできません。
TPPに日本が加盟すると、豪州産や米国産の農産物が市場を席巻し、廃業する日本の農家が続出するでしょう。とはいえ、竹中氏ら新古典派経済学者たちは、こういうわけです。
「自由な市場で競争し、敗北した以上、日本の農家が負けたのは自己責任だ。それに、『セイの法則』がある以上、廃業した農家は瞬時に別の職に就けるので、失業率が上がったりはしない。もし農家が職に就けないとすると、『職種のミスマッチ』があるわけだから、職業訓練をすればいい」
と。
世の中には「国家として守らなければならない産業」というものがあります。逆に「市場競争の荒波にさらしても構わない職種」というものあります。
市場競争の荒波にさらされても一向に構わないのが、例えば「経済評論」の分野です。現実に、わたくしはこの分野で激烈な市場競争を繰り広げ、同業者と所得の奪い合いをしています。
経済評論家など、過激極まる市場競争に疲れ果て、全員が廃業したところで一向に差支えない分野でございます。ついでに書くと、「経済学者」も同じです。経済評論家や経済学者がこの世から消滅しても、本人たちを除いて別に誰も困りません。
とはいえ、「国家として」全員廃業などという事態になると困る分野もあるのです。具体的には、農業、医療、建設業(※日本の場合限定)、防衛産業、インフラ産業などになります。これらの産業が全滅すると、その国家は「くにのいえ」であることを維持できなくなってしまうためです。
明日に続く
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積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
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