米国の50ヶ所近い原発から放射性トリチウム流出...

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米国の50ヶ所近い原発から放射性トリチウム流出...

米国内原子力発電所の大体75%で放射性物質の三重水素(トリチウム)が地中にリークしてることがAPの調べでわかりました

地下のパイプが錆びたのが主な原因で、その数と度合いは年々エスカレートしてるんだそうな。放置すると地下水に影響が及ぶ可能性もあります。

APによると大体は発電所敷地内に留まり、公共水道には到達していない模様ですが、敷地内サンプルからは健康基準値の何倍もの放射能濃度が検出されたそうですよ。

水素の放射性の同位体である三重水素(トリチウム)が米国内65ヶ所の原発のうち少なくとも48ヶ所で漏れ出ていることがわかった。APが老朽化する原子力発電所の安全性の問題を追う年間取材の一環でアメリカ合衆国原子力委員会(U.S. Nuclear Regulatory Commission)の記録を調べて判明したもの。 うち少なくとも37ヶ所では連邦政府の定める飲料水安全基準値を超える濃度が検出され、中には制限の数百倍のケースもあった。

三重水素(トリチウム)はX線ほど人体に影響がないと考えられていますが、やはりそれでも触れるとがんになる危険性も。米国の原子力発電所の安全基準は操業を続けるため年々緩和されてきているため、こうした設備も老朽化が始まってるのだけど有害物質の問題は目につかなくなっている、とAPは書いてます。

APの取材では、何年間も漏えいに気づかずに過ごすケースもたまにあることがわかった。パッチ(継ぎ)を当てたパイプやタンクも多く、汚染された土壌と水を除去した場所もある。が、後になって付近のパイプ、タンク、栓から漏えいが発見されることも多いのだ。

人為ミスや欠陥資材が原因で起きたケースもあるが、数十年に及ぶ使用・劣化で進んだ腐食が、漏えいの主な原因である。

ある安全エンジニアは、この漏えいラッシュは原発事業者が何十年も前のシステムの保守に苦心していることを示唆するものだ、と話している。

一部の原発では汚染地下水の放射能濃度が上限の750倍を超えたのですが、それでも核エネルギーの権威は、市民の健康への影響はないと主張してますよ。

「この問題が一般市民の健康と安全に及ぼす影響はほぼゼロだ」と、業界団体の米原子力エネルギー研究所(Nuclear Energy Institute)の原子力最高責任者Tony Pietrangelo氏は語る。 「これは国民の信頼の問題だ」

仰る通りかもですけど、こういうものには外に出て欲しくない人がほとんどだと思いますよ。続報では、2005年にシカゴ郊外の原発の近所に引っ越してすぐ原発の人が戸口にきて「放射性トリチウムが漏れた」と言った、という方が登場し、「我々の人生台無し」と話していますよ。

因みにその続報の中でAPは、原発周辺に住民が増えても避難基準が何十年も前から更新されてない問題を取り上げています。福島第一原発事故の時は当初、日本が30km圏だったのにアメリカは半径50マイル(80km)に避難勧告を出し、日本でも「さすがアメリカ、怖さを知ってるな」っていう感じで受け止められましたが、福島には50マイルと言う米国も、米国内で事故が起こった場合の避難基準は10マイル(16km)なんだそうな。ここでも触れたけど、「NYのインディアンポイント原子力発電所から50マイルの半径をとると、全国民の6%に相当する1700万人以上の人が逃げなきゃならなくなる」(AP)んですよね...。

[AP]

Adrian Covert(原文/satomi)